お子様が詐欺事件に関与して逮捕され、この先どうなるのか不安に感じている保護者の方も多いと思います。
少年の詐欺事件では、複数人による組織的な犯行に関与しているケースも多く、逮捕後も勾留による身体拘束が続いたり、事件への関与の程度によっては重い処分につながったりすることがあります。
また、少年本人が事件全体を十分に把握しないまま、一部の役割を担っているケースもあります。
そのため、少年本人がどのような経緯で事件に関与し、どのような役割を担っていたのかを整理した上で、身体拘束、取調べ、被害者への対応などを進めていくことが重要です。
以下では、少年の詐欺事件で問題となる事件の類型や、弁護士ができる対応について説明します。
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少年事件では成人事件とは異なる対応が必要です
成人事件と少年事件では、制度や手続がそもそも異なるため、成人の刑事事件で行われる弁護活動が、そのまま少年事件にも妥当するわけではありません。
少年事件では、少年事件特有の考え方を踏まえて対応することが非常に重要です。
単独犯から組織的な詐欺までさまざまな類型があります
少年が関与する詐欺事件には、少年が単独で行うものから、少人数のグループで行うもの、さらに多数の者が役割を分担して行う組織的なものまで、さまざまな類型があります。
近年、少年事件でも特に問題となっているのが、SNSや知人からの紹介などをきっかけとして、特殊詐欺などの組織的な犯罪に関与するケースです。
特殊詐欺には、親族などを装って現金をだまし取る「オレオレ詐欺」や、警察官などを装って金銭をだまし取る「ニセ警察詐欺」など、さまざまな手口があります。
こうした特殊詐欺では、複数の者が役割を分担して犯行に関与しています。少年が、被害者から現金やキャッシュカードを受け取る「受け子」、取得したキャッシュカードなどを使ってATMから現金を引き出す「出し子」、友人や知人などを犯行に勧誘する「リクルーター」として関与していることもあります。
なお、特殊詐欺に関与していた場合でも、少年が実際に行った行為によっては、詐欺罪以外の犯罪が問題となることもあります。
このように、同じ詐欺事件であっても、少年が単独で行った事件なのか、共犯者がいる事件なのか、さらに組織的な犯行の一部を担っていた事件なのかによって、その後の捜査や身体拘束の状況も異なります。
そのため、少年の詐欺事件では、どのような詐欺に関与したのかだけでなく、少年本人が誰と、どのような関係で、どのような役割を担って事件に関与したのかを確認することが重要です。
少年の詐欺事件では逮捕・勾留への対応が重要です
少年の詐欺事件では、事件が単独で行われたものか、共犯者がいるものかなどによって、身体拘束の可能性も大きく変わります。
少年が単独で行った詐欺事件であれば、事件の内容や少年の生活状況などにもよりますが、共犯者との口裏合わせをするおそれがないため、逮捕・勾留による身体拘束の必要性は相対的に低くなります。
一方、複数人が関与する詐欺事件では、少年本人を釈放すると、共犯者と連絡を取って供述を合わせたり、LINEやSNSなどのやり取りを削除したりするおそれがあると判断されやすくなります。
特に、特殊詐欺や闇バイトを通じて関与した事件では、少年本人のほかにも、指示役や他の受け子・出し子などが存在していることが多く、捜査機関としても共犯者との関係や事件全体の解明を進める必要があります。
そのため、こうした共犯事件では、少年が逮捕され、その後も勾留による身体拘束が続くことが多くなってしまいます。
また、少年が複数回にわたって犯行に関与している場合には、現在問題となっている事件だけでなく、ほかの事件についても捜査が行われることがあります。
もっとも、逮捕された場合でも、その後の身体拘束について弁護士が何もできないわけではありません。
当事務所では、少年本人と接見し、事件への関与の状況や共犯者との関係、家族による監督体制などを確認した上で、検察官に対して勾留を請求しないよう求めたり、裁判官に対して勾留を認めないよう意見を述べたりします。
勾留が決定された場合にも、事件の内容や少年本人の状況を踏まえ、準抗告などによって身体拘束からの解放を求めることを検討します。
身体拘束が長くなれば、少年の学校生活や今後の進路にも影響することがあります。
そのため、お子様が詐欺事件で逮捕された場合には、早い段階から身体拘束への対応を始めることが重要です。
少年の役割や事件への関与の程度によって処分の見通しは異なります
特殊詐欺などの組織的な詐欺事件では、同じグループに関与していた少年であっても、事件への関わり方はさまざまです。
例えば、指示を受けて一度だけ受け子として現金を受け取った少年と、複数回にわたって犯行に関与していた少年、リクルーターとしてほかの少年を事件に誘った少年とでは、事件への関与の程度は大きく異なります。
そのため、少年事件の処分を考える上では、少年がグループ内でどのような役割を担っていたのか、何回犯行に関与したのか、どの程度の報酬を受け取っていたのか、ほかの人物を勧誘していたのかなど、具体的な事情が重要になります。
また、少年本人が受け取った報酬だけでなく、少年が関与した犯行によって生じた被害額や、グループ全体による犯行の中で少年の行為がどのような位置付けにあったのかについても考える必要があります。
もっとも、受け子や出し子など、グループ内では末端の役割であったとしても、それだけで事件を軽く考えることはできません。被害者から現金やキャッシュカードを受け取ったり、ATMから現金を引き出したりする行為は、特殊詐欺による犯罪の実現に直接寄与するものだからです。
そのため、「指示されたことをしただけ」、「自分は末端だった」という事情だけで、当然に軽い処分になるわけではありません。
特に、複数回にわたって犯行に関与していた場合や、被害額が大きい場合、グループ内で重要な役割を担っていた場合などには、少年院送致を含む重い処分につながりやすくなります。
一方で、少年事件では、事件そのものの重大性だけでなく、少年がどのような経緯で事件に関与したのか、事件後にどのように向き合っているのか、被害弁償や再非行防止に向けてどのような取組みをしているのかなども含めて処分が検討されます。
そのため、少年の詐欺事件では、事件全体の中で少年本人がどのような役割を担い、どの程度関与していたのかを正確に整理することが重要です。
少年の詐欺事件では取調べへの対応が重要です
特殊詐欺など複数人が関与する事件では、少年本人が事件全体を把握しておらず、指示された一部の役割だけを担っていることがあります。
そのため、取調べでは、誰から事件に誘われたのか、誰からどのような指示を受けたのか、どのような役割を担ったのか、何回犯行に関与したのか、どの程度の報酬を受け取ったのかなどについて、詳しく確認されます。
また、詐欺事件では、少年が使用していたスマートフォンが押収され、LINEやSNS、メッセージアプリなどでの指示役や共犯者とのやり取りが、捜査機関によって解析・確認されます。
そのため、実際のやり取りと明らかに整合しない供述をしたり、他の共犯者との関係を隠そうとしたりすれば、その後の取調べにも影響することがあります。
一方で、捜査段階では、弁護士が押収されたスマートフォンの内容や、捜査機関が収集した証拠を自由に確認することができません。
そこで、弁護士としては、まず少年本人から、事件に関与した経緯、誰からどのような指示を受けたのか、実際に何をしたのか、何回関与したのか、どのような報酬を受け取ったのかなどをできる限り具体的に聞き取り、本人の記憶を整理する必要があります。
また、少年本人が「普通のアルバイトだと思っていた」、「詐欺だとは知らなかった」と話している場合には、その言葉だけから事件を争うのではなく、どのような経緯で応募し、どのような指示を受け、事件に関与する中で何を認識していたのかを詳しく確認した上で、取調べへの対応方針を検討する必要があります。
特殊詐欺などの組織的な事件では、指示役などから、警察に捕まった場合にどのような説明をするかについて、あらかじめ指示を受けている場合もあります。
そのような指示に従って事実と異なる説明を続けるのではなく、少年本人が実際に経験したことや自分の認識を整理し、取調べに対応することが重要です。
当事務所では、取調べ前に少年本人と打合せを行い、事件への関与の経緯、役割、共犯者との関係、本人の認識などを整理した上で、取調べへの対応方針を検討します。
取調べ後にも、実際にどのような質問を受け、どのように答えたのかを確認し、次の取調べに向けた準備を行います。
取調べは、一度終わってしまうとやり直しがききません。
そのため、少年が詐欺事件で逮捕された場合には、できるだけ早い段階から取調べへの準備を始めることが重要です。
被害者への被害弁償・示談も重要です
少年の詐欺事件では、被害者への被害弁償や示談に向けた対応も重要です。
特に、特殊詐欺などの組織的な事件では、少年本人が実際に受け取った報酬額と、被害者に生じた被害額が大きく異なることがあります。
例えば、少年本人が受け取った報酬が数万円程度であったとしても、その少年が関与した犯行によって、被害者がそれを大きく上回る金額をだまし取られていることがあります。
そのため、「自分が受け取った報酬を返せばよい」というだけではなく、少年がどの事件にどのような形で関与し、その結果として被害者にどの程度の被害が生じたのかを確認した上で、被害弁償や示談について検討する必要があります。
また、複数回にわたって犯行に関与していた場合には、被害者が複数存在することもあります。その場合には、すべての被害者との間で示談を成立させることが難しい場合もあり、限られた状況の中でどのように被害回復を進めるかを検討する必要があります。
もっとも、少年事件では、示談が成立したという結果だけが重要なのではありません。
少年本人が、自分の行為が特殊詐欺による被害の発生にどのように関わっていたのかを理解し、被害者が受けた経済的・精神的な被害と向き合うことも重要です。
受け子や出し子などグループ内では末端の役割であったとしても、「自分は指示されたことをしただけ」、「自分がだましたわけではない」と考えているだけでは、十分に事件と向き合ったとはいえません。
当事務所では、被害者側の意向に配慮しながら被害弁償や示談に向けた対応を進めるとともに、少年本人にも、自分の行為が事件全体の中でどのような意味を持っていたのかを考えてもらいます。
詐欺グループとの関係を断ち、再非行防止に取り組むことが重要です
少年事件では、被害弁償や示談を進めるだけでなく、少年本人がなぜ詐欺事件に関与することになったのかを振り返り、再び同じような事件に関わらないための取組みを進めることも重要です。
特に、闇バイトをきっかけとして特殊詐欺に関与した事件では、単に「もう闇バイトには応募しません」と約束するだけでは十分ではありません。
なぜ高額な報酬を得られるという募集に応募したのか、仕事内容に不自然な点を感じながらなぜ続けたのか、友人などから誘われた場合になぜ断ることができなかったのかなど、事件に関与することになった原因を具体的に振り返る必要があります。
また、特殊詐欺では、指示役などに少年本人の氏名、住所、身分証明書の画像や家族に関する情報などを知られていることがあります。少年が途中で抜けようとしても、本人や家族に危害を加えるなどと脅され、関係を断つことに強い不安を感じている場合もあります。
このような場合には、少年本人に「もう連絡を取らない」と約束させるだけではなく、詐欺グループとの関係をどのように断つのか、再び連絡を受けた場合にどう対応するのか、本人や家族の安全をどのように確保するのかについても考える必要があります。
さらに、事件に至った背景によっては、金銭の使い方や交友関係、SNSとの関わり方、アルバイトの選び方などについても見直す必要があります。
当事務所では、少年本人と事件に関与した経緯を振り返り、保護者の方とも話合いを重ねながら、その少年が再び詐欺事件に関与しないためにどのような環境や監督が必要なのかを一緒に検討していきます。
少年院送致を避けるためには早い段階から少年審判への準備を進めることが重要です
特殊詐欺などの組織的な詐欺事件では、少年の役割や犯行への関与の程度、犯行回数、被害額などによっては、少年院送致が相当と判断されることは珍しくありません。
もっとも、特殊詐欺に関与したというだけで、少年院送致になることが決まっているわけではありません。
少年本人が事件にどのように関与したのかだけでなく、事件後にどこまで自らの行為と向き合い、更生に向けた取組みを進めているのか、被害者への被害弁償や示談がどのように進んでいるのか、保護者による監督や支援の体制がどこまで整っているのかなど、さまざまな事情を踏まえて処分が検討されます。
そのため、少年院送致を避け、少年が家庭に戻った上で更生していくことを目指すのであれば、家庭裁判所に送致されてから初めて準備を始めるのではなく、捜査段階から少年審判を見据えて、できる限りの準備を進めることが重要です。
観護措置がとられると少年審判までの時間は限られます
特殊詐欺などで逮捕・勾留された少年については、家庭裁判所に送致された後も観護措置がとられ、少年鑑別所での身体拘束が続くことが多いです。
観護措置がとられると、その間に家庭裁判所調査官による調査も進められ、少年審判に向けた手続も進んでいきます。
この限られた期間の中で、少年本人への働きかけ、被害者への対応、保護者の監督体制の整備などを進めなければなりません。
そのため、少年審判までに準備できる時間は決して長くありません。
少年本人の更生・被害者への対応・保護者の監督体制のすべてが重要です
少年院送致を避けるためには、被害弁償や示談を進めればそれで十分というわけではありません。
少年本人には、なぜ詐欺事件に関与することになったのかを掘り下げ、自らの行為によって生じた被害を理解し、詐欺グループとの関係を断つなど、再非行防止に向けた具体的な取組みを進めてもらう必要があります。
同時に、被害者への謝罪や被害弁償、示談に向けた対応を進めるとともに、保護者の方にも、これまでの少年との関わり方や監督の状況を振り返り、少年が家庭に戻った後にどのように監督し、支えていくのかを具体的に考えてもらう必要があります。
少年本人の更生に向けた取組み、被害者への対応、保護者による監督や支援のいずれかが不十分なままでは、少年を家庭に戻しても再非行を防ぐことができる環境が十分に整っているとは評価されにくくなります。
しかも、これらを一つずつ順番に進めている時間があるとは限りません。被害者への対応を進めながら少年本人との面談を重ね、保護者とも今後の監督体制を検討するなど、少年審判までの限られた時間の中で並行して準備を進める必要があります。
当事務所では、少年院送致を避け、少年が家庭に戻って更生していくことができるよう、少年本人への働きかけ、被害者への対応、保護者による監督体制の整備を並行して進め、少年審判に向けてできる限りの準備を行います。
少年の詐欺事件では早い段階からの対応が重要です
少年の詐欺事件では、単独で行われた事件から、闇バイトをきっかけとした特殊詐欺などの組織的な事件まで、事件への関与の態様はさまざまです。
特に、複数人が関与する特殊詐欺事件では、逮捕・勾留による身体拘束が続き、家庭裁判所送致後も観護措置がとられることが多いうえ、事件の内容によっては少年院送致が相当と判断されることもあります。
そのため、取調べへの対応だけでなく、少年本人の役割や関与の程度を整理し、被害弁償や示談を進め、事件に至った原因を振り返り、詐欺グループとの関係を断つとともに、保護者による監督体制を整えるなど、少年審判に向けた準備を早い段階から進めることが重要です。
少年審判までに使える時間は限られています。お子様が詐欺事件で逮捕された場合には、できるだけ早い段階でご相談ください。
少年の詐欺事件についてのご相談はこちら
