少年事件では、警察・検察官による捜査が行われた後、原則として家庭裁判所へ送致され、その後、家庭裁判所調査官による調査や少年審判などの手続が進められます。

家庭裁判所への送致を境に、手続を担当する機関や手続の内容が大きく変わるため、このページでは、
・家庭裁判所へ送致されるまでの流れ
・家庭裁判所へ送致された後の流れ
・触法少年の流れ
の3つに分け、図を用いながらご説明します。


家庭裁判所へ送致されるまでの流れ

家庭裁判所へ送致されるまでの捜査段階では、主に警察や検察官が事件の捜査を行います。

もっとも、すべての少年事件で逮捕が行われるわけではありません。逮捕されずに在宅のまま捜査が進む場合と、逮捕されて身柄を拘束された状態で捜査が進む場合とでは、その後の流れが異なります。

在宅事件(身体拘束を受けていない事件)の場合

少年を逮捕する必要はないと判断された場合や、逮捕されたものの釈放された場合には、在宅のまま捜査が進められます。

在宅事件では、少年は普段どおり自宅で生活することができますが、適宜、警察や検察からの呼出しを受けて取調べを受けたり、必要に応じて実況見分などに立ち会ったりします。
在宅事件であっても、原則として事件がそこで終了するわけではありません。
また、在宅事件だからといって、必ずしも処分が軽くなるというわけではないので、油断は禁物です。

警察による捜査が終了すると、原則として、事件は警察から検察官に事件が送致され、検察官の捜査も終えると家庭裁判所へ送致されます。
ここでいう送致というのは、事件に関係する書類が、警察から検察官、検察官から家庭裁判所に送られることを意味します。

なお、在宅事件では、逮捕・勾留された事件のように法律上の厳格な時間制限が設けられていないため、家庭裁判所へ送致されるまでに一定の期間を要することがあります。

身柄事件(逮捕・勾留された事件)の場合

少年について、逃亡や証拠隠滅のおそれがあると警察が判断した場合には、逮捕されることがあります。
少年だから逮捕されないということはありません。

逮捕されると、以下に述べるような厳格な時間制限のもと、手続が進んでいくことになります。

警察による手続―逮捕から48時間以内

警察は、少年を逮捕したときは、原則として、逮捕から48時間以内に少年の身柄と事件を検察官へ送致する必要があります。

逮捕された時間帯や地域によって、少年が逮捕された翌日に検察庁に行くのか、それとも翌々日に検察庁に行くのかが変わってきます。
検察官に送致される前から警察による取調べは行われ、供述調書が作られます。

また、この逮捕されている期間は、保護者であっても少年と面会することはできません。

なお、法律上、警察から検察官を経由せず、事件が直接家庭裁判所へ送致されることも可能ではありますが、数としては多くありません。

検察官による手続―送致を受けてから24時間以内

逮捕された少年の身柄と事件が警察から送致されると、検察官は、原則として、身柄を受け取ってから24時間以内、かつ、逮捕から72時間以内に、少年の身柄をどのように取り扱うかを判断します。

検察官がとりうる選択としては、次のとおりです。

① 勾留請求する

② 勾留に代わる観護措置を請求する

③ 勾留や勾留に代わる観護措置をせず、家庭裁判所へ送致する

④ 少年を釈放し、在宅事件として捜査を続ける

それぞれの手続について、ご説明します。

① 勾留

検察官が、少年に逃亡や証拠隠滅のおそれがあるなど、引き続き身柄を拘束する必要があると判断した場合には、裁判官に対して勾留請求をします。

勾留請求を受けた裁判官において、少年の身柄を引き続き拘束する必要があると判断した場合、勾留が決定されます。

少年事件における勾留は、「やむを得ない場合」に限られていますが、実務上、多くのケースで勾留が認められてしまっています。

勾留期間は10日間であり、原則として警察署の留置場に留置され、適宜、警察や検察の取調べを受けることになります。

そして、10日間の勾留期間中では必要な捜査が終わらないときなどには、検察官の請求により、裁判官が、さらに最大10日間延長することができます。勾留延長が認められた場合、勾留期間は最長20日間(延長前の10日+最大10日)となります。

なお、逮捕期間中と異なり、勾留期間中は、接見禁止がついていない限りは保護者が面会することができます(保護者に限っては、接見禁止の対象外となることが多いです)。
ただし、平日の日中に限られた時間内でのみ、警察立ち会いのもとで認められます。

捜査が終了すると、事件は検察官から家庭裁判所へ送致されます。

② 勾留に代わる観護措置

法律上、勾留に代えて「勾留に代わる観護措置」という制度が規定されています。

少年を留置施設ではなく少年鑑別所へ収容する制度で、期間の延長が認められないという点に特徴があります。

ただし、実務上はそれほど多く利用されていません。

③ 検察官から家庭裁判所へ直ちに送致する

検察官は、少年について勾留や勾留に代わる観護措置を請求せず、そのまま事件を家庭裁判所へ送致することがあります。一般に「即日送致」と呼ばれる手続です。
この場合、少年は、身柄を伴ったまま家庭裁判所へ送致されることになります。

そのため、検察官が、勾留請求や勾留に代わる観護措置の請求をしない判断をしたとしても、必ず少年がそのまま帰宅できるとは限りません。

④ 釈放して、在宅事件として捜査を続ける

検察官や裁判官において、少年の身柄を拘束する必要がないと判断した場合には、少年は釈放され、ご自宅に戻ることができます。
事件が終わるわけではありませんが、ご自宅に戻って生活できるという点は、少年にとっても保護者にとっても大きなメリットでしょう。

もっとも、少年が自動的に釈放されるわけではありません。特に、友人やグループの仲間とともに事件を起こした場合には、関係者との口裏合わせなどによる証拠隠滅のおそれがあると判断されることがあります。

そのため、保護者による監督体制や、共犯者・関係者との接触を防ぐための具体的な方法などを整理し、少年の身柄を引き続き拘束する必要がないことを、検察官や裁判官へ適切に伝えることが重要です。

少年事件は原則として家庭裁判所へ送致されます

少年事件では、罪を犯した少年の事件について、原則として全て家庭裁判所へ送致します(全件送致主義)。
捜査段階では、成人の刑事事件のように検察官が起訴・不起訴を決めて事件を終了させるのではなく、原則として家庭裁判所へ送致されます。

これは、家庭裁判所において、非行事実の有無だけでなく、少年が非行に至った背景や資質、生活環境などを十分に調査し、再犯防止や社会適応のための適切な処遇を行うためです。

したがって、在宅事件・身柄事件にかかわらず、原則として、全ての事件は家庭裁判所へ送致されます。


家庭裁判所へ送致された後の流れ

事件が家庭裁判所へ送致されると、警察・検察官を中心とする捜査段階から、家庭裁判所における調査・審判の段階へ移ります。

家庭裁判所調査官による調査などを通じて、事件の内容に加え、少年の性格や生活状況、家庭環境、保護者の監督状況、再非行の可能性などが幅広く確認されます。

なお、家庭裁判所への送致のタイミングで、捜査段階における「弁護人」から、家庭裁判所の手続における「付添人」と名称が変わります。

付添人は、観護措置の回避・取消しに向けた活動、家庭裁判所調査官への対応、少年審判への対応などを主に行っていくことになります。

観護措置がとられる場合

家庭裁判所に事件が送られた段階で最も重要なことは、観護措置がとられるのか、それとも、在宅事件となるかです。

事件の送致を受けた家庭裁判所は、少年の調査や審判を行うために必要があると判断した場合、観護措置をとることがあります。

少年が身柄を拘束された状態で家庭裁判所へ送致された場合、家庭裁判所は、原則として、少年の身柄を受け取ってから24時間以内に観護措置をとるかどうかを判断します。

観護措置が決定されると、少年は少年鑑別所に収容されます。

観護措置の期間

少年鑑別所に収容される期間は原則として2週間で、必要がある場合には更新されることができるとされています。
ですが、実務上、2週間で終わることは極めて稀で、更新されて4週間となることがほとんどです。

さらに、一定の重大事件において非行事実を認定するための証拠調べが行われる場合には、最長8週間まで収容期間が延長されることがあります。

少年鑑別所で行われること

少年鑑別所では、少年の心身の状態や性格、行動傾向などについて、面接や心理検査、行動観察などを通じた鑑別が行われます。
勘違いしやすいところですが、少年鑑別所は、刑罰を科すための施設ではありません。

鑑別の結果は家庭裁判所へ報告され、家庭裁判所調査官による調査結果とともに、少年に対する処分を判断するための資料となります。

なお、少年鑑別所で保護者が少年と面会することは可能です。
ただし、平日の日中に限られた時間内でのみ、職員立ち会いのもとで認められます。
また、面会の際の少年や保護者の様子も職員が確認しており、鑑別の結果に影響します。

少年は施設内で生活することになり、自由に帰宅したり、学校や勤務先へ通ったりすることはできません。そのため、観護措置が学校生活や仕事に大きな影響を及ぼすことは避けられません。

在宅のまま調査が進む場合

家庭裁判所へ送致されたからといって、必ず少年鑑別所へ収容されるわけではありません。

身柄を拘束されたまま送致されたものの、観護措置がとられなかった場合には、ご自宅に戻ることができます
また、在宅事件として家庭裁判所へ送致された場合には、よほどの事情がない限り、新たに観護措置がとられることは少なく、少年は自宅で生活しながら家庭裁判所の調査を受けることになります。

在宅であっても、家庭裁判所からの呼出しには応じる必要があります。

また、家庭裁判所の調査が始まるまでに時間がかかることもありますが、事件が終了したわけではありません。呼出しを待つ間にも、生活環境の見直しや再発防止に向けた準備を進めることが重要です。

家庭裁判所調査官による調査

家庭裁判所へ事件が送致されると、家庭裁判所調査官による調査が行われます。

家庭裁判所調査官は、少年本人や保護者との面接などを通じて、主に次のような事情を調査します。

  • 事件に至った経緯
  • 少年が事件をどのように受け止めているか
  • 少年の性格や行動傾向
  • 家庭環境や保護者の監督状況
  • 学校生活や就労状況
  • 交友関係
  • これまでの非行歴
  • 再非行を防ぐために必要な支援
  • 少年や家族が行っている再発防止の取組み など

家庭裁判所調査官は、調査結果を踏まえ、少年にどのような処分をすることが適切かについて裁判官に意見を提出します。

家庭裁判所調査官の意見は裁判官を法的に拘束するものではありませんが、裁判官は、専門家である調査官の意見を重視しますので、最終的な処分を判断する上で非常に重要な資料となります。

家庭裁判所調査官との面談は、少年事件の結果を左右する重要な手続の一つです。
面談では、事件そのものだけではなく、再発防止に向けた取組みや家庭での監督体制などについても質問されるため、事前に十分な準備をして臨むことが大切です。

そのため、少年本人だけでなく、保護者も、事件の原因や今後の監督方法について具体的に考え、調査に臨むことが重要です。

少年審判を開始するかどうかの判断

家庭裁判所は、調査の結果を踏まえ、少年審判を開始する必要があるかどうかを判断します。

少年審判を開く必要がないと判断された場合には、「審判不開始」となることがあります。

審判不開始

審判不開始とは、家庭裁判所が、少年審判を開く必要がないと判断して、審判を開始せずに事件を終了させる決定です。

非行事実が認められない場合のほか、事案が比較的軽微であり、家庭裁判所調査官による調査や、家庭・学校などにおける指導によって再非行のおそれが解消されたと判断された場合などに、審判不開始となることがあります。

少年審判

家庭裁判所が少年審判を開く必要があると判断した場合には、少年審判が行われます。

少年審判では、裁判官が、少年本人や保護者、付添人などから話を聴き、非行事実の有無や、少年にどのような処分が適切かを判断します。

少年審判は、成人の刑事裁判とは異なり、原則として非公開で行われます。

審判では、事件の事実関係だけでなく、少年が事件をどのように受け止めているか、事件の原因にどのような問題があったのか、家庭で適切な監督ができるか、再非行を防ぐための環境が整っているかといった点も重要になります。

少年審判の結果として、主に次のような処分が考えられます。

検察官送致(逆送)

家庭裁判所が、保護処分ではなく、刑事処分が相当であると判断した場合には、事件を検察官へ送致します。

捜査段階で検察官から家庭裁判所に事件が送致されたにもかかわらず、家庭裁判所から検察官に逆に事件が送致されることになるため、一般的に「逆送」と呼ばれています。

逆送された後は、検察官が起訴するかどうかを判断し、起訴された場合には、原則として成人と同様に刑事裁判を受けることになります。

なお、一定の重大事件については、法律上、原則として検察官送致をしなければならないとされています。

保護処分

家庭裁判所が、少年の更生のために継続的な指導や処遇が必要であると判断した場合には、保護処分を決定します。

保護処分には、主に次のものがあります。

保護観察

保護観察は、少年を自宅で生活させながら、保護観察官や保護司による指導・監督を行う処分です。

少年は、家庭や学校、勤務先などで生活を続けながら、定期的な面談を受け、生活上の約束を守ることなどが求められます。

児童自立支援施設または児童養護施設への送致

少年の年齢や家庭環境などを踏まえ、児童福祉施設における生活指導や支援が適切であると判断された場合には、児童自立支援施設または児童養護施設へ送致されることがあります。

少年院送致

家庭内や社会内での指導だけでは更生が困難であり、施設内での矯正教育が必要であると判断された場合には、少年院送致となることがあります。

少年院では、少年の特性や抱えている問題に応じて、生活指導、教科指導、職業指導などの矯正教育が行われます。

少年院送致は刑罰ではありませんが、少年の身柄を施設に収容する処分であり、少年本人や家族の生活に大きな影響を及ぼします。

逮捕されて以降、ずっと身柄が拘束された状態のまま少年院送致が決まってしまうと、逮捕から数か月以上ご自宅に戻ることができないという事態になってしまいます。

不処分

家庭裁判所が、少年に非行事実が認められないと判断した場合や、非行事実は認められるものの、調査や審判を通じた教育的な働きかけなどによって、保護処分をする必要がないと判断した場合には、不処分となります。

不処分となれば、保護観察や少年院送致などの保護処分は行われず、家庭裁判所での手続は終了します。


触法少年の場合の流れ

14歳未満で刑罰法令に触れる行為をした少年は、「触法少年」と呼ばれます。

14歳未満の少年には刑事責任を問うことができないため、犯罪少年と同じように逮捕・勾留されたり、刑事裁判で刑罰を科されたりすることはありません。

もっとも、何の手続も行われないわけではありません。

触法少年については、警察による調査や児童相談所による対応が行われ、場合によっては家庭裁判所へ送致されて少年審判を受けることがあります。

警察による調査

触法少年について事件が発覚した場合、警察は、少年や保護者、被害者、関係者などから事情を聴き、行為の内容や少年の生活状況などを調査します。

触法少年は刑事手続の対象ではないため、犯罪少年と同じ意味での「捜査」や「逮捕」が行われるわけではありません。

もっとも、一定の要件を満たす重大な触法事件などについては、警察から児童相談所長へ事件が送致されます。

そのほかの事件についても、必要に応じて児童相談所へ通告されます。

児童相談所による調査・一時保護

児童相談所は、少年本人や保護者との面接などを通じて、家庭環境や生活状況、行為に至った原因、必要な支援などを調査します。

必要があると判断された場合には、少年が一時保護されることもあります。

児童相談所は、調査の結果を踏まえ、児童福祉上の措置によって対応するか、家庭裁判所の審判に付すことが適切であるとして家庭裁判所へ送致するかを判断します。

児童相談所で対応する場合

児童相談所が、家庭裁判所の審判に付す必要まではないと判断した場合には、児童相談所による指導や支援などによって対応することがあります。

少年や家庭の状況に応じて、在宅での指導、福祉サービスの利用、施設への入所などが検討されます。

家庭裁判所へ送致される場合

児童相談所長または都道府県知事が、少年を家庭裁判所の審判に付すことが適当であると判断した場合には、事件が家庭裁判所へ送致されます。

家庭裁判所へ送致された後は、家庭裁判所調査官による調査や少年審判が行われます。

審判の結果、保護観察、児童自立支援施設または児童養護施設への送致、少年院送致などの保護処分が選択されることがあります。


少年事件では早い段階からの準備が重要です

少年事件では、事件が現在どの段階にあるかによって、必要となる対応が異なります。

当事務所では、少年本人や保護者の方から事情を丁寧に伺い、今後予想される手続をご説明した上で、身柄拘束への対応、取調べへの助言、家庭裁判所調査官との面談に向けた準備、環境調整など、事件の状況に応じた弁護活動を行います。

お子さまが警察から呼出しを受けた場合や、逮捕されたとの連絡を受けた場合には、できるだけ早い段階でご相談ください。


少年事件では、手続が進むにつれて弁護士に求められる役割も変わります。
逮捕直後であれば身柄解放や取調べへの対応、家庭裁判所へ送致された後であれば調査官対応や環境調整、少年審判への準備など、それぞれの段階で適切な対応が重要になります。
現在どの段階にあるのか分からないという場合でも、お気軽にご相談ください。