少年事件では、事件の進行や、少年が逮捕・勾留されているかどうかによって、弁護士が行う活動も異なります。
お子様が逮捕されている場合には、勾留を避けるための活動や早期の釈放に向けた対応を行います。
また、捜査段階では、少年に取調べを受ける際の注意点について助言します。
被害者がいる事件では、弁護士が窓口となって謝罪や被害弁償、示談交渉を行うこともあります。
また、少年事件では、事件後の生活をどのように立て直していくかも重要です。少年本人や保護者の方と一緒に事件に至った原因を考え、更生に向けた環境を整えていきます。
家庭裁判所へ事件が送致された後は、付添人として、観護措置への対応、家庭裁判所調査官による調査、少年審判などに対応します。
弁護士は、捜査の段階から家庭裁判所での手続まで、事件の進行に応じて少年と保護者の方を支援します。
以下では、少年事件において弁護士が行う主な活動について説明します。
身柄事件では、勾留を避け、早期の釈放を目指します
お子様が逮捕されている身柄事件では、弁護士は、勾留を避けたり、身体拘束から早期に解放されたりするための活動を行います。
少年が逮捕されたからといって、そのまま当然に勾留されるわけではありません。
弁護士は、少年や保護者の方から事情を確認し、勾留の必要がないことを具体的に説明するための事情を整理します。
勾留を避けるために整理する事情の例
✔ 保護者による監督体制
✔ 今後の出頭の確保
✔ 事件関係者との接触防止
✔ 学校生活への影響
事件の内容や少年の生活状況によって、整理すべき事情は異なります。こうした事情を具体的に整理した上で、検察官に対して勾留を請求しないよう働きかけ、勾留請求がされた場合には、裁判官に対して勾留する必要がないことを説明します。
勾留が決定した場合にも、勾留決定に対する準抗告を行ったり、勾留の延長を避けるよう働きかけたりすることで、早期の釈放を目指します。
勾留を避けるためには、勾留が決まる前の早い段階から対応することが重要です。
取調べへの対応を助言します
少年事件では、警察官や検察官による取調べが行われます。
少年は、慣れない環境で緊張や不安を感じながら取調べを受けることになります。質問の意味を十分に理解できなかったり、取調官の言葉に合わせて答えてしまったりすることもあります。
弁護士は、少年から事件について事情を確認し、取調べでどのように対応すればよいのかを具体的に助言します。
取調べを受ける際の主な注意点
✔ 黙秘権があること
✔ 供述調書を十分に確認すること
✔ 納得できなければ署名・押印しないことができること
✔ 分からないことを想像で答えないこと
✔ 内容が違えば訂正を求めることができること
なお、供述調書への署名・押印をしなかった場合でも、作成された供述調書は破棄されるわけではなく、家庭裁判所に送られます。
また、取調べについては、供述調書以外にも取調べの日時や状況などを記録した「取調べ状況報告書」が作成されます。
そのため、署名・押印をするかどうかだけでなく、取調べで何をどのように話し、どのように対応するのかという段階から弁護士の助言を受けることが重要です。
被害者への謝罪や被害弁償・示談交渉を行います
被害者がいる事件では、まず、少年の行為によって生じた被害に向き合うことが重要です。
そのため、被害の内容に応じて、被害者への謝罪や被害弁償を行い、示談に向けた対応を検討します。
また、弁護士は、被害者への謝罪や被害弁償、示談交渉を行うだけでなく、少年本人が事件によって被害者にどのような被害や苦痛を与えたのかを考えられるよう働きかけます。
被害者に対する謝罪の気持ちを持ち、自分の行為によって生じた被害について思いを巡らせることは、少年が事件と向き合い、更生していく上でも重要です。
そのため、必要に応じて、謝罪文の作成などを通じて、少年自身が被害者への思いや自分の行為について考える機会を設けます。
少年事件では、示談が成立したかどうかという結果だけでなく、少年が被害とどのように向き合い、謝罪や被害回復のためにどのような取組みをしたのかも非常に重要です。
そのため、弁護士は、被害者への対応を進めるとともに、少年本人が自分の行為と向き合い、今後同じことを繰り返さないために何が必要かを考えられるよう支援します。
少年と保護者とともに更生に向けた環境を整えます
少年事件では、事件について反省するだけでなく、なぜ事件に至ったのかを考え、同じことを繰り返さないための環境を整えることが重要です。
事件に至った原因や背景は、少年によって異なります。家庭での生活、学校生活、交友関係、スマートフォンやSNSの利用、金銭の管理、人間関係など、様々な事情が関係していることがあります。
弁護士は、少年本人と保護者の方それぞれから話を聞き、事件に至った原因や背景を整理した上で、その少年に必要な取組みを一緒に考えます。
更生に向けた取組みの例
✔ 家庭での生活やルールの設定・見直し
✔ 交友関係や生活環境の見直し
✔ 医療・カウンセリング等の利用
✔ スマートフォン・SNSの利用方法の見直し
✔ 金銭管理の方法の見直し
✔ 学校・仕事など今後の生活の検討
もちろん、すべての少年に同じ取組みが必要になるわけではありません。
大切なのは、形式的に「反省しています」と示すことではなく、事件に至った原因を考え、その少年に応じた具体的な取組みを始めることです。
また、少年本人が変わろうとしていても、家庭での受入れや保護者による支援がなければ、その取組みを続けることが難しい場合があります。
一方で、保護者の方も、事件をきっかけに「どこまで厳しくすればよいのか」、「これからどのように接すればよいのか」と悩むことがあります。
弁護士は、少年本人だけでなく保護者の方とも話をしながら、少年とご家族が更生に向けて同じ方向を向いて取り組めるよう、今後の生活や監督の方法を一緒に考えていきます。
家庭裁判所送致後は付添人として対応します
少年事件は、捜査が終わると原則として家庭裁判所へ送致されます。
家庭裁判所へ送致された後は、弁護士は「付添人」として、少年や保護者の方を支援します。
家庭裁判所では、非行事実だけでなく、少年の性格や家庭環境、学校生活、事件に至った背景、事件後の変化などについても調査し、少年にどのような処分が必要なのかを検討します。
付添人の役割は、少年審判に出席することだけではありません。
家庭裁判所による調査や観護措置への対応、事件記録・社会記録の確認、更生に向けた環境調整などを行い、少年審判に向けた準備を進めます。
観護措置を避けるために対応します
家庭裁判所へ事件が送致されると、少年を少年鑑別所に収容する「観護措置」がとられることがあります。
観護措置によって少年鑑別所に収容されると、家庭での生活が中断し、学校へ通うこともできなくなります。
弁護士は、保護者による監督体制や少年の生活状況、学校生活への影響などを整理し、少年鑑別所に収容せず、自宅で家庭裁判所の調査を受けることができるよう働きかけます。
逮捕・勾留されたまま家庭裁判所へ送致される場合には、送致後すぐに観護措置が判断されることもあるため、できるだけ早い段階から準備を進めることが重要です。
家庭裁判所調査官による調査に対応します
家庭裁判所では、家庭裁判所調査官が少年や保護者と面接し、事件に至った背景や家庭環境、学校生活、交友関係、事件後の生活状況などについて調査します。
弁護士は、少年や保護者の方と事前に話をし、事件後にどのようなことを考え、どのような取組みを始めているのかを整理した上で、調査に対応します。
また、必要に応じて、保護者による監督状況や更生に向けた取組みなどを資料としてまとめ、家庭裁判所へ提出します。
少年や保護者の方が実際に取り組んでいることがあっても、それが家庭裁判所に十分伝わるとは限りません。
少年の事件後の変化や、ご家族が行っている具体的な取組みを家庭裁判所へ適切に伝えることも、付添人の重要な役割です。
事件記録や社会記録を確認します
家庭裁判所へ事件が送致されると、捜査機関から送られた供述調書などの事件記録のほか、家庭裁判所調査官による調査の結果などが記録に加わっていきます。
付添人は、事件記録や家庭裁判所調査官が作成した社会記録を閲覧し、その内容を確認することができます。
事件記録を確認することで、少年の供述がどのように記録されているのか、どのような証拠をもとに事件が捜査されてきたのかなどを把握し、少年審判に向けた対応を検討します。
また、家庭裁判所調査官は、少年や保護者との面接などを通じて、事件に至った背景、家庭環境、学校生活、交友関係などを専門的な立場から調査し、社会記録としてまとめます。
この社会記録の内容を確認することは、少年審判への対応だけでなく、少年が事件に至った原因を考え、今後の生活に活かす上でも重要です。
弁護士は、事件記録や社会記録の内容も踏まえながら、少年や保護者の方と今後の更生に向けた取組を検討し、必要な準備を進めていきます。
少年審判に向けて準備し、審判に出席します
少年審判が開かれる場合には、弁護士は付添人として、審判に向けた準備を進めます。
付添人の役割は、審判当日に出席することだけではありません。
少年や保護者の方との面談、事件記録や社会記録の内容、それまでの更生に向けた取組みなどを踏まえ、少年の事件後の変化や現在の生活状況、保護者による監督体制などを整理します。
その上で、これまでの取組みや少年の現在の状況を踏まえた付添人としての意見をまとめ、審判前に意見書やその裏付けとなる資料を家庭裁判所へ提出します。
また、少年本人や保護者の方とも、審判でどのようなことを聞かれるのか、どのようなことを自分の言葉で伝える必要があるのかを確認し、審判に向けた準備を行います。
少年審判では、付添人から少年や保護者の方に質問することもあります。事件についてどのように考えているのか、更生に向けてどのような取組みをしてきたのか、今後どのように生活していこうと考えているのかなど、少年や保護者の方自身の言葉で家庭裁判所に伝えることが重要です。
弁護士は、審判前の準備から審判当日までを通じて、少年の変化や更生に向けた取組みが家庭裁判所に適切に伝わるよう支援します。
これまでの付添人活動を踏まえて少年にとって適切な処分が選択されるよう、審判前の準備から審判当日まで一貫して対応することが、付添人の重要な役割です。
少年事件には、弁護士だからこそできる対応があります
身体拘束への対応、取調べへの助言、事件記録の確認、少年審判への準備など、弁護士にしかできない対応があります。
お子様の更生と今後を見据えて、専門家の立場からサポートします。
