お子様が警察の捜査を受けたり、逮捕されたりした場合、保護者の方にとって、事件そのものと同じくらい心配なのが、今後の学校生活ではないでしょうか。
「学校に知られたら退学になるのでしょうか。」
「停学処分を受ける可能性はありますか。」
「学校から自主退学を勧められたら、応じなければならないのでしょうか。」
といったご相談を受けることがあります。
少年事件が学校に知られたからといって、それだけで直ちに退学や停学になるわけではありません。
退学・停学が問題となるかどうかは、学校の種類や学則、事件の内容、学校生活との関係などによって異なります。
また、学校が処分を決める前に、事件の状況、少年本人の反省、被害者への対応、家庭での監督や再発防止に向けた取組みなどを適切に説明することも重要です。
退学や停学が心配な場合には、学校の処分が決まる前の段階から対応することが重要です。
このページでは、少年事件で退学・停学が問題となる場合や学校の種類による違い、自主退学を勧められた場合の注意点、学校生活への影響をできる限り小さくするために弁護士ができることについて説明します。
少年事件と退学・停学
警察や家庭裁判所から学校へ事件の情報が伝わったとしても、それだけで退学や停学になるわけではありません。
学校への情報提供と、学校による退学・停学などの懲戒処分は別の問題です。
学校が事件を把握した場合には、事実関係を確認した上で、学則や校則、事件の内容などを踏まえて対応を検討することになります。
警察の捜査を受けたり、逮捕されたりしたことだけで、当然に退学・停学が決まるわけではありません。
一方で、事件の内容や学校との関係によっては、退学や停学などの処分が検討されることがあります。
そのため、学校が事件を把握した後は、処分が決まるまで何もしないのではなく、学校がどのような点を問題としているのかを確認し、必要な説明を行うことが重要です。
学校の種類による退学・停学の違い
退学や停学などの処分の取扱いは、学校の種類によって異なります。
公立の小学校・中学校
市区町村立の小学校・中学校では、原則として懲戒としての退学処分はありません。
また、中学生については、懲戒処分としての停学は認められていません。
もっとも、公立中学校では、他の生徒の教育を受ける権利を守る必要がある場合などに、停学とは別の制度として「出席停止」となり、一定期間登校できなくなることがあります。
私立中学校
私立中学校では、退学が問題となることがあります。
私立中学校では、一定の場合に退学処分が行われる可能性があります。
一方、中学生に対する懲戒処分としての停学は、私立中学校でも認められていません。
もっとも、学校の学則や規程などに基づいて、登校を控えるよう求められるなど、別の対応が問題となる場合があります。
そのため、学校から何らかの処分や登校制限を示された場合には、名称だけで判断せず、学校がどの規定に基づいて、どのような措置を取ろうとしているのかを確認することが重要です。
高校
高校では、公立・私立を問わず、退学や停学などの懲戒処分が問題となることがあります。
もっとも、少年事件が学校に知られたからといって、当然に退学や停学になるわけではありません。
学校は、事件の内容や学校との関係、本人の状況などを踏まえて処分を検討することになります。
特に高校では、退学や停学がその後の進学や生活に大きな影響を与えるため、処分が検討されている段階で適切に事情を説明することが重要です。
大学
18歳・19歳の大学生も、少年法上は「少年」に当たります。
そのため、大学生であっても少年事件として家庭裁判所の手続を受ける場合があります。
大学では、学則や懲戒規程などに基づいて、退学や停学の処分が行われることがあります。
大学生の少年事件でも、刑事・少年事件への対応だけでなく、大学での懲戒処分への対応が必要になることがあります。
大学によって懲戒の基準や手続が異なるため、大学から事情聴取や処分に関する連絡を受けた場合には、学則や懲戒規程を確認した上で対応することが重要です。
学校外の事件と退学・停学
事件が学校の中で起きたものでなければ、学校の処分とは関係がないと思われることがあります。
しかし、学校外で起きた事件であっても、学校が学則や校則などに基づいて対応を検討することがあります。
もっとも、学校外で起きた事件だから当然に処分できるというものでもありません。
学校がどのような規定に基づいて処分を検討しているのか、事件と学校生活との間にどのような関係があるのかなどを確認する必要があります。
そのため、学校から処分について説明を受けた場合には、まず、学校が把握している事実と処分の根拠を確認することが重要です。
学校処分を検討する際の事情
学校による処分は、事件の罪名だけで機械的に決まるものではありません。
どのような事情が考慮されるかは学校や事案によって異なりますが、例えば、
- 事件の内容や重大性
- 学校生活との関係
- 被害者や共犯者と学校との関係
- 少年本人が事件をどのように受け止めているか
- 被害者への謝罪や被害弁償の状況
- 家庭での監督状況
- 再発防止に向けた取組み
- これまでの学校生活の状況
などが問題となることがあります。
学校に事件の情報だけが伝わり、少年側から十分な説明がされていない場合には、学校が処分を検討するために必要な事情が十分に伝わっていないことがあります。
そのため、少年本人や保護者だけで学校へ説明するべきか、弁護士から学校へ事情を説明するべきかも含めて検討することが重要です。
学校から自主退学を勧められた場合
少年事件が学校に知られた後、正式な退学処分ではなく、
「自主的に退学してほしい。」
「退学届を出した方がよい。」
などと学校から説明されることがあります。
学校から自主退学を勧められても、その場ですぐに退学届を提出する必要はありません。
まず確認したいのは、学校が正式な懲戒処分として退学を検討しているのか、それとも少年本人や保護者に自主退学を求めているのかという点です。
また、
- 学校が問題としている具体的な事実
- 学則や校則上の根拠
- どのような処分を検討しているのか
- 少年本人や保護者が事情を説明する機会があるのか
- いつまでに回答する必要があるのか
なども確認する必要があります。
退学届を提出すれば、自ら退学したという形になります。
そのため、退学する意思がない場合には、学校から求められたからという理由だけで、その場で退学届を提出することは避けた方がよいでしょう。
自主退学を求められた場合には、退学届を提出する前に弁護士へ相談することをおすすめします。
退学・停学を避けるための弁護士の活動
学校から退学・停学などの処分を受ける可能性がある場合には、学校の処分が決まる前の段階から弁護士が対応することが考えられます。
事件の内容だけでなく、少年本人の反省や被害者への対応、家庭での監督、再発防止に向けた取組みなどを学校へ適切に伝えることで、学校生活を継続できる可能性があります。
弁護士は、少年事件そのものへの対応と学校への対応を切り離さず、その後の学校生活まで見据えて対応を検討します。
① 学則・処分根拠の確認
学校から退学や停学を示唆された場合には、まず、学校がどのような事実を把握し、どの規定に基づいて処分を検討しているのかを確認します。
学校の種類によって適用される法令が異なるほか、学校ごとに学則や懲戒規程などが定められています。
そのため、学校から処分の可能性を伝えられたからといって、直ちにその処分を前提として対応する必要はありません。
まず、処分の根拠や手続を整理することが重要です。
② 事件後の状況・取組みの説明
学校に事件の情報だけが伝わった場合には、少年本人の反省や、その後の取組みまで十分に把握されていないことがあります。
弁護士は、必要に応じて、
- 事件の内容や現在の手続の状況
- 少年本人の反省
- 被害者への謝罪や被害弁償
- 家庭での監督体制
- カウンセリングなど再発防止に向けた取組み
- これまでの学校生活
- 今後も学校生活を継続する必要性
などを整理して学校へ説明します。
事件後にどのような対応をしているのかまで学校に伝えることが、退学・停学を避けるために重要になる場合があります。
③ 少年事件への対応を踏まえた学校対応
学校への対応を考える際には、少年事件そのものがどのように進んでいるのかも重要です。
被害者がいる事件では、謝罪や被害弁償、示談などの状況が学校への説明に関係する場合があります。
また、家庭裁判所へ送致された後には、少年本人の反省や家庭での監督、再発防止に向けた取組みなどについて調査が行われます。
そのため、弁護士は、少年事件について有利な結果を目指すだけでなく、その対応を学校生活の継続にもつなげられるよう検討します。
④ 自主退学を求められた場合の対応
学校から自主退学を勧められている場合には、まず学校の意向やその理由を確認します。
退学する意思がない場合には、少年本人や保護者の意向を踏まえて、学校生活を継続したい理由や、事件後の取組みなどを学校へ説明することを検討します。
自主退学を勧められても応じていないのであれば、まだ正式な退学処分は決まっていません。
その段階から弁護士が関与し、学校が何を問題としているのかを確認した上で、学校生活を継続するためにどのような対応ができるかを検討します。
退学・停学が心配な場合は、お早めにご相談ください
退学や停学が問題となる場合には、処分の根拠や手続を確認し、必要に応じて学校に適切な対応を求めます。
処分が決まる前のできるだけ早い段階でご相談ください。
