お子様について家庭裁判所から呼出状が届き、
「家庭裁判所では何をするのか」
「少年や保護者はどのようなことを聞かれるのか」
「何か準備しておいた方がよいのか」
「この後、どうなるのか」
など、不安に感じる保護者の方も多いと思います。
家庭裁判所では、事件の内容だけでなく、少年の性格や生活状況、家庭環境、学校生活、事件に至った背景などについて調査し、少年が再び事件を起こさないためにどのような対応が必要なのかを検討します。
その中で極めて重要な役割を担うのが、家庭裁判所調査官による調査です。
家庭裁判所から呼出状が届いた段階から、その後の調査を見据えて準備を進めることが重要です。
警察・検察の捜査後の家庭裁判所への送致
成人の刑事事件では、捜査をした検察官が、事件を起訴するか不起訴とするかを判断します。
これに対して、少年の犯罪事件では、捜査の結果、犯罪の嫌疑があると判断された場合、原則として全ての事件が家庭裁判所に送られます(全件送致主義)。
家庭裁判所に事件を送るのは、少年事件では、刑罰を科すかどうかを判断するためではなく、少年が非行に至った原因を調査し、更生を促すためです。
家庭裁判所では、少年の性格や生育歴、家庭環境、学校生活、交友関係などについて調査し、少年がなぜ事件に至ったのか、再び事件を起こさないためにはどのような対応が必要なのかを検討します。
そのため、警察や検察での取調べが終わっても、それだけで少年事件の手続が終了するわけではありません。
家庭裁判所に事件が送られた後は、家庭裁判所での調査を経て、少年審判を開く必要があるか、少年にどのような処分が適切なのかが検討されます。
家庭裁判所調査官による調査への対応が重要な理由
家庭裁判所調査官による調査は、警察や検察などの捜査機関による捜査とは、その目的や内容が異なります。
捜査機関が犯罪事実の有無や事件の内容を明らかにするために捜査を行うのに対し、家庭裁判所調査官は、少年がなぜ非行に至ったのか、その原因や背景を調査します。
具体的には、家庭裁判所調査官は、少年本人や保護者との面接などを通じて、
- 少年がどのような生活をしてきたのか
- どのような交友関係なのか
- なぜ事件に至ったのか
- 事件後に少年や保護者にどのような変化があるか
- どのような家庭環境なのか
- 学校や職場での生活はどのようなものか
- 少年が事件をどのように受け止めているのか
- 再び事件を起こさないために何が必要か
などを調査します。
必要に応じて、心理テストを行ったり、学校や自宅などに出向いたり、関係機関に照会したりしながら、少年が事件に至った原因や現在抱えている問題、更生に向けて必要となる対応を検討していきます。
その上で、家庭裁判所調査官は、調査結果や処遇についての意見を裁判官に報告します。
最終的な判断を行う裁判官は、警察や検察が捜査した事件の内容だけでなく、少年自身についての調査結果や家庭裁判所調査官の意見も踏まえて、少年審判を開くかどうかや、審判を開いた場合にどのような処分が適切なのかを判断します。
成人の刑事事件と異なり、少年事件では、原則として全ての事件が家庭裁判所に送致されます。
家庭裁判所では、事件の内容だけでなく、少年自身についても調査が行われ、その中で家庭裁判所調査官が重要な役割を担います。
こうした制度の仕組みからも、家庭裁判所調査官による調査は、裁判官が少年について判断する上で非常に重要な要素となります。
そのため、家庭裁判所調査官との面接は、単に呼出しに応じて事情を話せば足りる手続ではありません。
少年本人や保護者が、事件に至った原因や事件後の変化、更生に向けた取組みについて十分に考え、整理した上で臨むことが重要です。
少年・保護者に対する調査の内容
家庭裁判所調査官との面接では、事件についてだけではなく、少年のこれまでの生活や現在の状況について幅広く話を聞かれます。
聞かれる内容は、事件の内容や少年の置かれた状況などによってさまざまですが、例えば次のような事項について確認されることがあります。
少年本人に確認される主な事項
- 家庭での生活
- 友人関係
- なぜ事件に至ったのか
- 事件について現在どのように考えているか
- 同じことを繰り返さないために何が必要だと考えているか
- 学校や仕事の状況
- これまでの生活や生育歴
- 自身が考える性格、長所・短所
- 被害者がいる場合、その被害についてどのように考えているか
- 今後どのように生活していこうと考えているか
保護者に確認される主な事項
- 少年のこれまでの生活状況
- 親子関係
- 少年の性格、長所・短所
- 事件に至った原因をどのように考えているか
- 事件について現在どのように考えているか
- 事件後に少年にどのような変化があるか
- 家庭での様子
- 交友関係
- 自身が考える長所や短所
- 被害者がいる場合、保護者として、その被害についてどのように考えているか
- 今後どのように少年を監督していこうと考えているか
このように、家庭裁判所調査官との面接では、少年本人・保護者ともに、事件そのものだけでなく、生活状況や事件後の変化、今後の生活まで幅広い事項について確認されます。
その一方で、一回の面接に使える時間には限りがあるため、短い時間の中で多くのことを聞かれることになります。
そして、調査官との面接は、質問を受けてからその場で一緒に答えを考えてもらうためのものではありません。少年や保護者が、その時点で事件や今後の生活についてどこまで考えられているのかも確認されます。
そのため、質問に対して答えることができなかった場合に、家庭裁判所調査官がその場でヒントを出したり、どのように考えればよいのかを教えてくれたりするとは限りません。
少年や保護者が回答できなかったという事実自体も、その問題についてどこまで考えられているのかを判断する一つの材料になります。
そして、こうした面接の内容も家庭裁判所調査官による調査結果の一部として裁判官に報告され、少年審判を開くかどうかや、その後の処分を判断する際の材料となります。
通常、少年本人と保護者はそれぞれ別に面接を受けるため、その場でお互いに補足したり助けたりすることはできません。
限られた時間の中で、少年・保護者それぞれが自分の考えを自分の言葉で伝える必要があるからこそ、家庭裁判所調査官との面接を受ける前から、事件に至った原因や被害についての考え、更生に向けた取組みなどを十分に考え、整理しておくことが重要です。
家庭裁判所の調査に向けた弁護士の対応
上記のとおり、家庭裁判所調査官との面接では、限られた時間の中でさまざまな質問を受けるうえ、少年本人や保護者の回答内容や受け答えの様子は、その後の裁判官の判断材料となる極めて重要なものです。
そのため、弁護士は、事件の内容や少年の生活状況などを踏まえて、家庭裁判所調査官からどのような事項について質問される可能性があるのかをあらかじめ整理し、少年本人・保護者それぞれと、その質問に対してどのように考えているのかを確認していきます。
このように、実際に質問を受けたときに、少年本人・保護者それぞれが、自分の考えを自分の言葉で説明できるようにするための準備をしたうえで、面接に臨むことができます。
また、調査官との面接までに時間がある場合には、事件に至った原因や少年の置かれた状況に応じて、更生に向けた具体的な取組みも実際に進めていきます。
家庭裁判所調査官との面接には、事前に弁護士と綿密な打合せを行い、想定される質問に対する考えだけでなく、更生に向けた取組みや事件後の変化など、少年にとって有利に評価され得る事情についても、調査官に適切に把握してもらえるよう十分に整理した上で臨むことが重要です。
家庭裁判所調査官との面接前にご相談ください
家庭裁判所調査官との面接を受ける前に、想定される質問や必要な準備を整理しておくことが重要です。
お子様について家庭裁判所から呼出しを受けた場合には、面接前にご相談ください。
