― 少年事件で、私が大切にしていること ―

お子様が警察に連れて行かれたり、突然、警察や学校から連絡を受けたりして、頭が真っ白になり、何をどうすればよいのか分からないまま、このページをご覧になっているかもしれません。

「これからどうなるのだろう。」
「少年院へ行ってしまうのではないか。」
「学校には通い続けられるのだろうか。」

これまで当たり前だった日常が突然変わり、不安や後悔、自責の念など、様々な思いが頭の中を巡っていることと思います。

そのような状況では、一刻も早く弁護士を探さなければというお気持ちになるのも当然です。

ですが、このような一大事だからこそ、どうか焦って弁護士を選ばないでいただきたいと思っています。

少年事件で弁護士に依頼するにあたっては、少年事件に関する知識や経験があることはもちろん大切です。

しかし、私はそれ以上に、お子様や保護者の方と弁護士との考え方や価値観が合っていることが大切だと考えています

どれほど知識や経験があったとしても、お子様が心を開けなければ、本当の思いを聞くことはできません。また、保護者の方と弁護士が同じ方向を向いて歩んでいけなければ、お子様にとってより良い環境を一緒につくっていくことも難しくなります。

それは、私であっても全く同じです。

もし、このページを最後まで読んで、「私たちとは少し考え方が違うな」と感じられたのであれば、無理に私へご相談いただく必要はありません。

お子様にとって本当に信頼できる弁護士と出会うことが、何よりも大切だと考えているからです。

このページでは、私が少年事件にどのような思いで向き合い、何を大切にしながら付添人活動を行っているのかを率直にお伝えしたいと思います。

焦るお気持ちは痛いほど分かります。

ですが、お子様の将来に関わる大切な場面だからこそ、一度だけ立ち止まり、最後までお読みいただければ幸いです。

少年の「事件」ではなく、「背景」と向き合うこと

私は、少年事件では、「どのような事件を起こしたのか」だけではなく、「なぜその出来事に至ったのか」という背景と向き合うことを何より大切にしています。

もちろん、事件を起こしてしまった以上、その行為が許されるわけではありません。

被害者の方がおられる事件であれば、被害者の方が受けた苦しみや悲しみにしっかり向き合い、自らの行動を反省することは極めて重要です。

しかし、事件だけを見て少年を評価してしまえば、その少年が抱えていた悩みや苦しみ、本当は誰にも言えなかった思いを見落としてしまうことがあります。

私は、そのような「事件の背景」にこそ、二度と同じことを繰り返さないためのヒントがあると考えています。

私がそのように考えるようになった原点は、自分自身の小学生時代にあります。

当時、大人の理不尽な対応によって幼い心が深く傷ついた経験がありました。

大人の都合や社会の中で、自分の思いをうまく言葉にできない子どもの苦しさや、「分かってもらえない」という感覚を、私自身が経験しました。

その経験があったからこそ、弁護士を目指すようになってからも、「子どもの権利を守りたい」という思いを持ち続けてきました。

もっとも、私自身も決して順風満帆な人生を歩んできたわけではありません。

理想ばかり高く、思うようにいかず、何度も挫折や葛藤を経験してきました。

だからこそ、思うように生きられず苦しんでいる少年に対して、「どうしてそんなことをしたんだ」と一方的に責めるのではなく、「何があったのだろう」「今、何を考えているのだろう」と考えるようになったのだと思います。

私は、少年事件の付添人として、事件だけではなく、その少年自身と向き合い、その子がもう一度前を向いて歩き出すために何が必要なのかを一緒に考えていきたいと思っています

保護者と一緒に、更生への道を支えること

私は、少年事件は、少年だけの問題ではないと考えています。

もちろん、事件を起こしたのは少年本人です。

しかし、その後、お子様がどのように事件と向き合い、どのような人生を歩んでいくかは、ご家族の支えがあってこそ実現できるものです。

実際に少年事件に携わっていると、観護措置や少年審判までの期間を通じて、お子様だけでなく、保護者の方にも大きな変化が生まれることがあります。

少年は、事件や被害者のこと、これからの人生について考え、自分自身と向き合います。

一方で、保護者の方も、お子様が自宅にいない生活を送る中で、「これまでの関わり方はどうだったのだろう」「これからどのように支えていけばよいのだろう」と、ご自身と向き合われることが少なくありません。

私は、この期間は、お子様だけでなく、ご家族にとっても「これから」を考える大切な時間だと思っています。

だからこそ、私は、少年だけと向き合うのではなく、保護者の方ともできる限り丁寧にお話をさせていただきます。

現在のお子様の様子をお伝えしたり、今後の見通しをご説明したりするだけではありません。

保護者の方が抱えている不安や迷いにも耳を傾け、一緒に今後の監督の在り方や、ご家庭でできることを考えていきます。

私は、少年事件のゴールは、少年審判で良い結果を得ることだけではないと思っています。

事件をきっかけに、お子様と保護者の方がともに前を向き、二度と同じ過ちを繰り返さない環境を築いていく。

そのためのお手伝いをすることも、付添人として大切な役割の一つだと考えています。

親子がもう一度向き合えるように

少年事件に携わる中で、私が何より大切にしていることがあります。

それは、親子がもう一度同じ方向を向いて歩き始められるよう、お手伝いをすることです。

弁護士として数多くの少年事件を担当してきましたが、少年審判の場で、親子が涙を流しながら、

「これまで気づけなかったお互いの思いに気づきました。」

「これからは家族みんなで頑張っていきます。」

と裁判官へ力強く誓われる姿を、私は何度も見てきました。

また、少年と話をすると、

「本当は親に心配をかけたくなくて言えなかった。」

「これまでは親に言ってもどうせ分かってもらえないと思っていた。」

「一番頼れる存在が、実は親だったことに気づいた。」

そんな本音を、涙ながらに話してくれる少年も少なくありません。

子どもは、子どもなりに本当にたくさんのことを考えています。

親に迷惑を掛けたくないと思っている子もいます。

助けてほしいと思いながらも、親だからこそ素直になれず、一人で抱え込んでしまう子もいます。

一方で、保護者の方も、

「もっと早く気づいてあげられたのではないか。」

「自分の育て方が悪かったのではないか。」

と、ご自身を責めてしまうことが少なくありません。

しかし、私がこれまで担当してきた事件では、最初から親子関係が大きく壊れていたご家庭は、決して多くありませんでした。

むしろ、ごく普通のご家庭だからこそ、少しずつ会話が減っていたり、お互いを思うあまり本音を言えなかったり、ほんの小さなすれ違いや行き違いが積み重なってしまっていることの方が多いように感じています。

保護者の方は、「見守ろう」「干渉しすぎないようにしよう」と思って距離を取っていた。

一方で、お子様は、「心配を掛けたくない」「どうせ分かってもらえない」と思い、自分の気持ちを胸の奥にしまい込んでいた。

どちらかが悪かったという話ではなく、お互いを大切に思っていたからこそ、少しずつ気持ちがすれ違ってしまっていたのです。

だからこそ、私は、お子様だけでなく保護者の方のお話にも丁寧に耳を傾け、それぞれの思いや考えを少しずつつないでいくことを大切にしています。

弁護士が親子関係を変えられるわけではありません。

それでも、お互いが言葉にできなかった思いを伝え合い、もう一度同じ方向を向いて歩き始めるきっかけをつくることはできると信じています。

私が目指しているのは、少年審判で良い結果を得ることだけではありません。

事件をきっかけに、お子様と保護者の方がもう一度向き合い、「これから一緒に頑張っていこう」と思える関係を取り戻すこと。

そのための橋渡し役となることも、付添人としての大切な役割の一つだと考えています。

最後に

事件が起きてしまったことは、決して取り消すことはできません。

また、被害者の方がおられる以上、その事実から目を背けることもできません。

だからこそ、お子様には、自分の行動と真剣に向き合い、二度と同じ過ちを繰り返さないよう努力してほしいと思っています。

そして、その歩みを支えるためには、お子様だけではなく、ご家族の存在も欠かせません。

これまで数多くの少年事件に携わる中で、私は、事件をきっかけに親子がお互いの思いを伝え合い、もう一度同じ方向を向いて歩き始める姿を何度も見てきました。

そのような姿を見るたびに、「少年事件は、単に事件を解決するだけの仕事ではない」と強く感じます。

少年や保護者の方が少しずつ前を向き、お互いを理解し、最後には笑顔で新たな一歩を踏み出していく。

その過程に関わることができることは、私にとって弁護士として何より大きなやりがいです。

だから私は、少年事件に力を入れています。

もし今、お子様のことで不安や後悔、自責の念を抱えておられるのであれば、一人で抱え込まないでください。

「もっと早く相談すればよかった。」

そうおっしゃる保護者の方は少なくありません。

どのような状況であっても、お子様の将来のために、今できることは必ずあります。

お子様にとって何が最善なのか。

そして、ご家族としてどのような形で支えていくことができるのか。

その答えを、一緒に考えていければと思っています。

少年事件は、起きてしまった出来事だけで少年の将来が決まるものではありません。
今回の出来事をきっかけに、少年本人や保護者の方が前を向き、新たな一歩を踏み出せるよう、最後まで寄り添いながらサポートいたします。
お子さまの将来についてご不安なことがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。