警察から突然、
「事件について話を聞きたい」
「警察署に来てほしい」
「取調べを受けてほしい」
などと連絡を受け、不安に感じる方も多いと思います。
警察から呼出しを受けているものの、逮捕されずに捜査が進められている事件を、一般に「在宅事件」と呼びます。
在宅事件では、普段どおり生活を続けることができますが、その間にも警察や検察官による捜査は進みます。
取調べでどのように対応するか、被害者への対応をどうするかなどが、その後の起訴・不起訴の判断に影響することもあります。
詳しい事情が分からない段階でも構いません。警察から既に呼出しを受けている場合はもちろん、まだ警察から連絡を受けていない段階でも、事件化する可能性がある場合には、分かっている範囲の状況を弁護士にお伝えください。
警察から呼出しを受ける前の段階から、今後の取調べや処分に備えて準備しておくことが重要です。
逮捕されていない事件でも、対応すべきことはたくさんあります。
警察からの呼出しがあった場合や、事件化する可能性がある場合には、お早めにご相談ください。
警察から呼出しを受けたときに確認していただきたいこと
警察から呼出しの連絡を受けた場合には、可能な範囲で、次の情報を確認してください。
・連絡してきた警察署
・警察官の氏名と連絡先
・呼出しの日時
・どのような事件についての呼出しなのか
警察から詳しい説明を受けられず、何について話を聞かれるのか分からないこともあります。
すべての情報がそろっていなくても、ご相談いただくことは可能です。
在宅事件とは
刑事事件では、すべての被疑者が逮捕されるわけではありません。
逮捕されず、普段の生活を続けながら警察や検察官による捜査を受ける事件もあります。
このような事件を、一般に「在宅事件」と呼びます。
在宅事件では、仕事や学校へ行くこともでき、自宅で生活することができます。
もっとも、身体拘束されていないからといって、事件が軽い、あるいは処分を受けないという意味ではありません。
警察や検察官による取調べや証拠収集が行われ、捜査が終われば、検察官が起訴・不起訴などの処分を判断します。
警察からの呼出しへの対応
在宅事件では、警察から日時を指定され、警察署へ来るよう求められることがあります。
逮捕・勾留されている場合と異なり、在宅事件では身体を拘束されているわけではありません。
そのため、指定された日時にどうしても都合がつかない場合には、警察へ連絡し、日程を調整できることがあります。
もっとも、捜査機関からの連絡に応じない状況が続けば、その事情が逮捕の必要性を判断する際に考慮されることがあります。
警察から呼出しを受けた場合、どう対応すればよいか分からず、時間が過ぎてしまうこともあるかもしれませんが、対応するようにしましょう。
取調べについて
警察署へ出頭すると、事件について取調べを受けることがあります。
被疑者には黙秘権が認められており、取調べで供述することを強制されるわけではありません。
もっとも、事件によっては事実関係を説明した方がよい場合もあれば、黙秘権を行使すべき場合もあります。
そのため、取調べを受ける前に、事件の内容や証拠関係を踏まえて、どのように対応するのかを検討することが重要です。
また、取調べで話した内容について供述調書が作成されることがあります。
取調べは、一度終わってしまうとやり直しがききません。
警察から呼出しを受けた段階で、取調べにどのように対応するのかを整理しておくことが重要です。
在宅事件から逮捕される場合
当初は在宅事件として捜査されていた場合でも、その後に逮捕される可能性がないわけではありません。
新たな証拠が見つかった場合や、事件の内容、捜査への対応などによっては、捜査の途中で逮捕されることは珍しいことではありません。
もっとも、逮捕される可能性がどの程度あるかは、事件の内容や証拠関係、本人の生活状況、捜査の進み方などによって異なります。
また、まだ警察から呼出しを受けていない段階でも、事件の内容や捜査の進展によっては、今後逮捕される可能性を検討しておく必要があります。
弁護士がついていれば、もし逮捕されてしまった場合でも、すぐに接見に向かい、取調べへの対応や今後の手続について助言するとともに、早期釈放に向けた対応を始めることができます。
逮捕される可能性が心配な場合には、警察からの呼出しを待つのではなく、早い段階で弁護士へ相談し、現在の状況を確認しておくことが重要です。
警察での捜査が終わった後
警察による捜査が終わると、原則として事件は検察官へ送致されます。
在宅事件の場合には、本人の身体が拘束されていないため、警察から検察官へ事件記録などが送られます。
その後、検察官が事件を確認し、必要に応じて本人を検察庁へ呼び出して取調べを行います。
在宅事件の場合、警察で取調べを受けた後、しばらく連絡がなく、その後になって検察庁から呼出しを受けることもあります。
警察や検察庁からしばらく連絡がないからといって、事件が終了したとは限りません。
起訴・不起訴の判断
捜査が終了すると、検察官が被疑者を起訴するか、不起訴とするかを判断します。
不起訴となった場合には、その事件について刑事裁判は開かれず、その事件によって前科がつくこともありません。
一方、起訴された場合には、その後の手続や結果によって、本人の生活に大きな影響が生じる可能性があります。
起訴には、正式な刑事裁判を求める公判請求のほか、一定の事件について、正式な刑事裁判を開かずに罰金または科料を科すことを求める略式命令の請求があります。
公判請求された場合には、裁判所で刑事裁判を受けることになります。有罪判決が確定すれば前科がつきます。
また、略式手続によって罰金刑が確定した場合にも前科がつきます。
前科がつくことによって、一定の資格や職業に影響が生じる場合があります。また、勤務先との関係や今後の社会生活に影響する可能性もあります。
在宅事件では、逮捕・勾留されていないため、事件への危機感が薄れやすい一方で、その間にも捜査は進んでいます。
被害者のいる事件では、被害が回復されているか、被害者がどのような感情を持っているか、示談が成立しているかといった事情も、検察官が起訴・不起訴を判断する際に通常考慮されます。
そのため、在宅事件で不起訴処分を目指すのであれば、取調べへの対応だけでなく、被害者への謝罪や被害弁償、示談についても早い段階から検討し、処分判断を見据えて対応することが重要です。
在宅事件で必要な弁護活動
在宅事件では、逮捕・勾留されていないため、普段どおり仕事や学校に行き、自宅で生活することができます。
そのため、「まだ急いで対応しなくてもよい」「警察から呼出しを受けてから相談すればよい」と考えてしまうこともあると思います。
しかし、在宅事件であっても、事件の内容や現在の状況に応じて、必ず検討すべき対応があります。
取調べへの準備、被害者への謝罪や示談、本人に有利な証拠の確保、検察官への意見提出など、必要となる対応は事件ごとに異なります。
警察から呼出しを受けた場合はもちろん、まだ警察から連絡を受けていない段階でも、現在の状況を整理し、その事件で何をすべきかを早い段階から検討することが重要です。
事件の状況の整理
まず、どのような出来事があり、本人が事件についてどのように認識しているのかを確認します。
警察から既に呼出しを受けている場合には、どの警察署から、どのような事件について連絡を受けているのかなども確認します。
まだ警察から連絡を受けていない場合には、相手方との間でどのようなやり取りがあったのか、警察への相談や被害申告がされている可能性があるのかなど、現在分かっている事情を整理します。
事件を認めている場合と、事実関係や犯罪の成立を争っている場合とでは、その後に必要となる対応も異なります。
現在分かっている事情を整理した上で、今後想定される捜査と必要な対応を検討します。
取調べに向けた準備
警察や検察官による取調べへの対応は、その後の処分判断にも関わります。
当事務所では、警察から呼出しを受けた在宅事件について、原則として取調べ前に本人と打合せを行います。
その際には、事件の内容や証拠関係を踏まえて、どのような質問が想定されるのか、取調べで供述するのか、それとも黙秘権を行使するのかなどについて検討します。
取調べ後には、実際にどのような質問を受け、どのように答えたのかを確認します。
どのような質問をされたのかは、捜査機関がどのような点に関心を持っているのか、どのような事実や証拠を把握しているのかを推測する手がかりにもなります。
取調べが複数回にわたる場合には、その内容を踏まえて次の取調べに向けた準備を行い、取調べの前後で打合せを重ねながら対応します。
取調べは、一度終わってしまうとやり直しがききません。
そのため、警察へ出頭する前から、取調べへの対応を準備しておくことが重要です。
被害者への対応
被害者のいる事件では、謝罪や被害弁償、示談への対応が重要です。
逮捕・勾留されている事件では、本人や家族も早く対応しなければならないという意識を持ちやすい一方、在宅事件では普段どおり生活できるため、示談への着手が遅れがちです。
しかし、在宅事件であっても、示談の重要性が低くなるわけではありません。
検察官が起訴・不起訴を判断する際には、被害が回復されているか、被害者がどのような感情を持っているか、示談が成立しているかといった事情が通常考慮されます。
そのため、被害者のいる事件では、早い段階から示談の可否を検討し、必要な対応を進めることが重要です。
これは、警察から呼出しを受けた後に限りません。事件の内容や状況によっては、警察から連絡を受ける前の段階から、被害者への謝罪や被害弁償、示談に向けた対応を検討することがあります。
また、被害者への連絡方法にも注意が必要です。
もともと被害者の連絡先を知っている場合でも、本人や家族から直接連絡することは避けた方がよいです。
一方、被害者の連絡先を知らない場合には、捜査機関が本人や家族に被害者の連絡先を教えることは通常ありません。
弁護士であれば、捜査機関を通じて、被害者が弁護士からの連絡を受ける意向があるかを確認してもらうことができます。
被害者の了承が得られれば、捜査機関を介して連絡先の提供を受けるなどして、謝罪や被害弁償、示談に向けた交渉を進めます。
そのため、被害者のいる事件では、警察から呼出しを受けているかどうかにかかわらず、早い段階で弁護士に相談し、示談を含めた被害者対応を進めることが重要です。
本人に有利な証拠の確保
事件について争っている場合には、本人に有利な証拠を早い段階で確保することが重要です。
防犯カメラの映像、通話履歴やメッセージ、位置情報、写真、関係者とのやり取りなど、事件によって確認すべき証拠は異なります。
こうした証拠の中には、時間が経過すると消去されたり、入手することが難しくなったりするものもあります。
そのため、警察からまだ呼出しを受けていない段階であっても、事件について争う可能性がある場合には、どのような証拠を確保しておく必要があるのかを早めに検討します。
検察官への意見提出
捜査が進んだ後は、検察官が起訴するか、不起訴とするかを判断します。
弁護士は、事件の内容に応じて、不起訴処分を求める意見書や関係資料を検察官へ提出します。
事件を認めている場合には、被害者との示談や被害回復、事件後の本人の対応など、処分を判断する際に考慮してもらうべき事情を整理して伝えます。
一方、事件について争っている場合には、本人の主張や有利な証拠・事情を整理し、不起訴とすべき理由を伝えます。
在宅事件では、逮捕・勾留されていないため、何もしないまま時間が経過してしまいやすいです。
しかし、その間にも捜査は進み、最終的には検察官が起訴・不起訴を判断します。
不起訴処分を目指すためには、処分判断を待つのではなく、その事件で必要となる対応を早い段階から進めることが重要です。
逮捕されていない事件でも、対応すべきことはたくさんあります。
警察の呼出しがあった際はお早めにご相談ください。
