「子どもが無免許運転をして、警察から呼び出しを受けた」
「子どもが自転車や電動キックボードで人にけがをさせてしまった」
「子どもが車やバイクで人身事故を起こしてしまった」
このようなことで、今後どのような手続になるのか、家庭裁判所でどのような処分を受けるのか不安に感じている保護者の方も多いと思います。
少年の交通事件には、無免許運転や飲酒運転、速度超過などの道路交通法違反だけでなく、車やバイクによる人身事故、自転車や電動キックボードによる事故など、さまざまな事件があります。
交通事件の内容によって、問題となる犯罪や家庭裁判所での扱いは異なります。また、人身事故を起こした場合には、被害者への謝罪や被害弁償、利用できる保険の確認なども必要になります。
以下では、少年の交通事件で問題となる犯罪、家庭裁判所での扱い、被害者への対応や保険、運転免許への影響、再発防止に向けた取組みなどについて説明します。
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少年事件では成人事件とは異なる対応が必要です
成人事件と少年事件では、制度や手続がそもそも異なるため、成人の刑事事件で行われる弁護活動が、そのまま少年事件にも妥当するわけではありません。
少年事件では、少年事件特有の考え方を踏まえて対応することが非常に重要です。
少年の交通事件ではさまざまな犯罪が問題となります
交通事件は、自動車やバイクによるものだけではなく、自転車や電動キックボードによるものもあります。
少年がこれらの車両で交通違反をしたり、人にけがをさせる事故を起こしたりした場合には、道路交通法違反や過失傷害罪などの犯罪が成立することがあります。
どのような犯罪が成立するかは、運転していた車両や運転の内容、事故によって生じた結果などによって異なります。
自動車・バイクによる交通事件
自動車やバイクでは、無免許運転、飲酒運転、速度超過、共同危険行為などの道路交通法違反が問題となります。
また、自動車やバイクを運転して交通事故を起こし、人にけがをさせたり死亡させたりした場合には、過失運転致死傷罪が問題となります。
さらに、一定の危険な運転によって人を死傷させた場合には、危険運転致死傷罪が問題となります。
このように、自動車やバイクによる交通事件では、交通違反の内容だけでなく、運転の危険性や事故によって生じた結果によっても、問題となる犯罪は大きく異なります。
自転車による交通事件
自転車も道路交通法上の軽車両であり、信号無視、一時不停止、飲酒運転などをした場合には、道路交通法違反となります。
また、自転車で歩行者などに衝突し、人にけがをさせたり死亡させたりした場合には、事故によって生じた結果や過失の程度に応じて、過失傷害罪、過失致死罪、重過失致死傷罪などが成立することがあります。
電動キックボードによる交通事件
近年では、LUUPなどのサービスの普及により、電動キックボードは未成年者にとっても身近な乗り物になっています。
電動キックボードのうち、一定の基準を満たすものは、道路交通法上の「特定小型原動機付自転車」に当たります。特定小型原動機付自転車は、16歳以上であれば運転免許がなくても運転できますが、16歳未満の者が運転することは禁止されています。なお、基準を満たさない電動キックボードには、車両の区分に応じて運転免許が必要となるものがあります。
16歳以上の者であっても、特定小型原動機付自転車で信号無視や通行区分違反、飲酒運転などをした場合には、道路交通法違反となります。また、16歳未満の者が運転した場合には、その運転自体が道路交通法違反となります。
さらに、特定小型原動機付自転車を運転して人にけがをさせたり死亡させたりした場合には、事故の内容に応じて過失運転致死傷罪などが成立することがあります。
人身事故を起こした後に立ち去った場合にはひき逃げも成立します
自動車やバイク、自転車、電動キックボードで人身事故を起こした場合には、負傷者を救護するなどの必要な措置をとるとともに、警察に事故を報告しなければなりません。
負傷者がいるにもかかわらず、必要な救護措置をとらずにその場から立ち去った場合には、救護義務違反、いわゆる「ひき逃げ」となります。
ひき逃げが成立する場合には、事故そのものだけでなく、事故後に必要な救護措置をとらずに立ち去ったことも、少年に対する処分を判断する上で重要な事情となります。
少年本人が「相手が大丈夫と言ったので、そのまま現場を離れてしまった」と主張しても、それだけで救護義務がなくなるわけではありません。事故後には、相手の負傷状況を確認し、必要な救護措置をとることが必要です。
一部の交通違反は反則金を納付することで手続が終了します
比較的軽微な道路交通法違反については、反則金を納付することで手続を終了させる交通反則通告制度があります。
自動車やバイク、特定小型原動機付自転車の一定の交通違反がこの制度の対象となるほか、16歳以上の自転車運転者についても、一定の交通違反が交通反則通告制度の対象となっています。
対象となる違反は車両の種類によって異なりますが、例えば、信号無視や一時不停止などがあります。自動車やバイクについては、一定範囲の速度超過なども対象となります。
交通反則通告制度の対象となる違反について反則金を納付した場合には、その違反について家庭裁判所に送致されません。
一方、反則金を納付しなかった場合には、交通反則通告制度によって手続を終了させることはできず、少年事件として捜査が行われます。
その結果、犯罪の嫌疑が認められた場合には、原則として家庭裁判所に送致されます。
交通事件に応じた処遇が行われる場合があります
家庭裁判所に送致された交通事件についても、一般の少年事件と同様に、家庭裁判所調査官による調査などを経て、少年に対する処分が決められます。
不処分、保護観察、少年院送致などとなる場合があるほか、交通事件では、交通短期保護観察が行われる場合があります。また、事件の内容によっては、刑事処分を相当として検察官送致となる場合もあります。
交通短期保護観察となる場合があります
交通事件によって保護観察に付される少年のうち、一般的な非行性がないか、その程度が深くなく、交通に関する非行性も固定化していない少年については、家庭裁判所が交通短期保護観察が相当である旨の処遇勧告をする場合があります。
交通短期保護観察では、通常の処遇に代えて、集団処遇を中心とした指導が集中的に行われ、交通ルールや安全運転に関する知識を身につけ、安全運転に対する意識を形成するための働きかけが行われます。
そのため、交通事件では、単に「違反を認めている」「事故について反省している」というだけでなく、なぜ違反や事故に至ったのか、交通ルールや運転に伴う危険をどのように理解しているのか、今後同じような交通事件を起こさないためにどのような取組みをしているのかといった点も重要になります。
交通事件でも検察官送致となる場合があります
少年の交通事件でも、家庭裁判所が保護処分ではなく刑事処分を相当と判断した場合には、事件は検察官に送致されます。
例えば、無免許運転や飲酒運転、重大な速度超過などの交通違反を繰り返している場合や、ひき逃げなど事故後の対応も含めて悪質性が高い場合、重大な結果が生じた人身事故などでは、検察官送致となることがあります。
また、犯行時16歳以上の少年が危険運転致死罪に当たる行為によって被害者を死亡させた場合には、原則として検察官送致の対象となります。
検察官送致となった後、検察官に起訴され、刑事裁判で拘禁刑の実刑判決を受けた場合には、少年院ではなく、刑務所などの刑事施設に収容されることになります。17歳以下の少年受刑者は、主として少年刑務所に収容されます。
もっとも、交通事件では、罰金刑による処理を相当として検察官送致となる場合もあります。そのため、検察官送致となったからといって、必ず拘禁刑の実刑判決を受けるわけではありません。
そのため、検察官送致が問題となる交通事件でも、まずは家庭裁判所において保護処分とすることが相当であることを示していくことが重要です。また、検察官送致となった場合でも、罰金刑による処理が可能な事件では、事件の内容に応じて罰金刑による処理を目指して対応することになります。
人身事故では被害者への賠償と謝罪・反省が重要です
人身事故を起こした場合には、被害者に生じた損害について適切に賠償を進めることが重要です。
また、少年事件では、金銭的な賠償が行われているかということだけでなく、少年本人が被害者に生じた被害を理解し、事故について謝罪や反省を深めているかという点も重要になります。
被害者に生じた損害を賠償することが重要です
交通事故では、被害者のけがの程度や後遺障害の有無などによって、損害賠償額が大きくなることもあります。人身事故を起こした場合には、こうした被害者に生じた損害について、適切に賠償を進めることが重要です。
事故について保険が適用される場合には、保険会社から被害者に対して賠償金が支払われる場合があります。そのため、早い段階で保険会社に事故を報告し、補償内容や今後の対応を確認した上で、被害者への賠償を進めていくことが重要です。
当事務所では、保険会社と連携して被害者への賠償の進捗状況を確認し、賠償がどの程度進んでいるのかを家庭裁判所にも具体的に伝えていきます。
賠償が行われてもそれだけで終わりではありません
保険会社などから被害者に対して賠償金が支払われた場合、被害者に生じた損害について金銭的な填補が行われることになります。しかし、賠償が行われたからといって、事故によって被害者が受けた痛みや苦しみ、事故に遭ったときの恐怖などまでなくなるわけではありません。
また、後遺障害が残った場合には、その後遺障害に対する金銭的な賠償が行われることになりますが、事故前の状態に戻るわけではありません。被害者は、その後も後遺障害を抱えながら生活していくことになります。
そのため、少年本人が単に「申し訳ない」、「反省している」と考えるだけではなく、自分の運転によって被害者にどのような被害を与え、その被害が被害者の生活にどのような影響を与えているのかを具体的に考えることが重要です。
その上で、被害者の立場に思いを巡らせ、被害者の意向にも配慮しながら、少年本人や保護者から適切な方法で謝罪を行うことが重要になります。
少年本人が被害をどの程度理解し、被害者にどのように向き合っているのかという点は、家庭裁判所が少年に対する処分を考える上でも重要になります。
運転免許への影響は家庭裁判所の処分とは別に生じます
自動車やバイクによる交通違反や交通事故では、少年事件としての処分とは別に、運転免許の停止や取消しなどの行政処分が行われることがあります。
そのため、家庭裁判所で不処分となった場合でも、それによって運転免許に対する行政処分までなくなるわけではありません。運転免許への影響については、少年事件の処分とは別に確認する必要があります。
交通事件に至った原因を振り返り、再発防止に取り組むことが重要です
少年の交通事件では、交通違反や事故を起こしたという結果だけでなく、なぜそのような行為に至ったのかを具体的に振り返り、同じような交通事件を繰り返さないための取組みを進めることが重要です。
交通事件に至った原因は、事件の内容によって異なります。
例えば、無免許運転であれば、なぜ運転免許がないにもかかわらず運転しようと思ったのか、どのようにして車やバイクを使用することができたのかまで振り返る必要があります。
飲酒運転や重大な速度超過、友人と一緒になって危険な運転をしていた場合には、交通ルールに対する考え方だけでなく、交友関係やその場の雰囲気に流されていなかったかなどについても考える必要があります。
一方、人身事故は、不注意によって起こしてしまうことも多いため、少年本人の反省が「今後は気を付けます」というところで止まってしまうことがあります。しかし、事故には、安全確認が不十分だった、周囲を十分に見ていなかった、速度を適切に調整していなかったなど、事故に至った具体的な原因があります。
そのため、どのような点に問題があったのか、どのような運転をしていれば事故を防ぐことができたのかまで具体的に振り返る必要があります。
また、自転車や電動キックボードについて、少年本人が「自動車ではないからそれほど危険ではない」と軽く考えていた場合には、人に衝突すれば重大な結果を生じさせることもあるという危険性や、守るべき交通ルールについて改めて理解してもらう必要があります。
単に「もう違反しません」、「今後は気を付けます」と約束するだけではなく、交通事件に至った原因を具体的に振り返り、その原因に応じた再発防止策を考えることが重要です。
保護者の方にも、事件の内容に応じて、車やバイクの鍵の管理、今後の運転についてのルール、交友関係の見守りなど、家庭でできる再発防止の方法を検討してもらいます。
当事務所では、少年本人と交通事件に至った経緯や原因を振り返り、保護者の方とも話合いを重ねながら、その少年と事件の内容に応じた再発防止の方法を一緒に検討していきます。
少年の交通事件では事件の内容に応じた対応が重要です
少年の交通事件は、無免許運転や飲酒運転などの交通違反から、人身事故やひき逃げまで、その内容はさまざまです。
事件の内容によって必要となる対応は異なりますが、少年事件では、家庭裁判所での処分だけでなく、被害者への賠償や謝罪、事件に至った原因の振り返り、再発防止に向けた取組みも重要になります。
お子様が交通事件を起こし、今後の手続や必要な対応について不安がある場合には、できるだけ早い段階でご相談ください。
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