このページをご覧の方の中には、ご家族が逮捕されたと知り、何をすればよいのか分からず、不安を感じている方もいらっしゃると思います。

「なぜ逮捕されたのか」

「この先どうなるのか」

「本人はいつ帰ってこられるのか」

こうした疑問をご本人に直接確かめたくても、逮捕されたご本人は、ご家族と自由に連絡を取ることができません。その間にも、警察による取調べ、検察官への送致、勾留請求の判断などの手続が進みます。

逮捕から最大72時間以内に、検察官が勾留を請求するか、釈放するかなどを判断します。この72時間は、勾留を避け、早期釈放を目指すための重要な期間です。

詳しい事情が分からない段階でも構いません。ご家族が逮捕された場合には、まずは現在分かっている状況を弁護士にお伝えください。

逮捕された直後に確認していただきたいこと

警察から逮捕の連絡を受けた場合には、可能な範囲で、次の情報を確認してください。

・逮捕されたご本人の氏名と生年月日
・逮捕された日時
・逮捕した警察署や留置されている警察署

警察から詳しい説明を受けられず、事件の内容や留置先が分からないこともあります。すべての情報がそろっていなくても、ご相談いただくことは可能です。

逮捕された後の流れ

ご本人が逮捕されると、法律で定められた時間の中で手続が進みます。

① 警察から検察官への送致(逮捕から48時間以内)

警察は、ご本人を逮捕してから48時間以内に、ご本人を釈放するか、事件を検察官へ送致しなければなりません。

検察官へ送致される場合には、ご本人の身柄と事件に関する捜査記録などが検察官へ送られます。

② 検察官による勾留請求等の判断(身柄を受け取ってから24時間以内/逮捕から72時間以内)

事件の送致を受けた検察官は、ご本人の身柄を受け取ってから24時間以内、かつ、逮捕から72時間以内に、勾留を請求するか、釈放するかを判断します。

検察官が、引き続き身体を拘束して捜査する必要があると判断した場合には、裁判官へ勾留を請求します。

検察官が、この時点で釈放したとしても、事件が終了するわけではなく、在宅事件として事件は続くことになります。

③ 裁判官による勾留の判断

検察官が勾留を請求すると、裁判官がご本人に事件についての言い分を確認する勾留質問を行います。

そのうえで、裁判官が、逃亡や証拠隠滅のおそれなどを踏まえ、勾留を認めるかどうかを判断します。

勾留請求が却下された場合には、ご本人は釈放されます。

一方、勾留が決定した場合には、勾留請求の日から原則として10日間、やむを得ない事情が認められて勾留期間が延長されると、さらに最長10日間、身体拘束が続く可能性があります。

なお、勾留請求が却下されて釈放された場合でも、事件が終了するわけではなく、在宅事件として事件は続くことになります。

逮捕直後から弁護士ができること

逮捕後のどの段階にあるかによって、必要となる弁護活動は異なります。

弁護士は、ご本人との接見、取調べへの助言、事件に関する証拠の確認・収集などを行います。

ご本人と接見し、事件の概要と認識を確認する

逮捕されたご本人は、ご家族と自由に連絡を取ることができず、今後どうなるのか、取調べにどのように対応すればよいのかも分からないまま、取調べを受けることになります。

弁護士は、そのような状況にあるご本人と、警察官の立会いなく接見することができます。接見では、弁護士がご本人の味方であることを伝え、不安や悩みを聴きながら、見通しや今後の手続における注意点を説明することで、心理的にも支えます

また、接見は、事件の状況を把握し、今後の弁護方針を検討するための出発点にもなります。

なぜなら、逮捕直後の捜査段階では、弁護士に対して事件に関する詳細な内容や証拠が開示されることは通常なく、捜査機関がどのような証拠を把握し、捜査がどこまで進んでいるのかを詳しく教えてもらうこともできないからです。

そこで、弁護士は、まずご本人から、疑われている事件の内容、実際に何があったのか、ご本人がどのように関与し、どのような認識を持っていたのか、これまでの取調べで何を聞かれ、どのように答えたのかなどを詳しく聴き取ります。

もっとも、ご本人の説明だけで事実関係や弁護方針を判断するわけではありません。後述するように、防犯カメラの映像、関係者の証言などの客観的な証拠を弁護士が収集できることもあります。

そのため、接見で聴き取ったご本人の説明と、収集できた客観的な証拠を照らし合わせながら、実際にどのような事実があったのか、ご本人がどのような認識を持っていたのかを整理し、今後の弁護方針を検討します。

さらに、接見では、ご本人の体調や必要な差入れを確認したり、ご家族からのメッセージをご本人に伝えることもできます家族と会うことができない状況にいるご本人にとって、ご家族からのメッセージを伝えることが、ご本人の心理的な支えになることもあります。

そして、接見後は、ご本人の意向と守秘義務に配慮しながら、ご家族へお伝えできる範囲で現在の状況や今後の見通しをご説明します。

取調べに向けた助言をする

接見によって事件の概要とご本人の認識を確認した後は、その内容を踏まえて、今後の取調べへの対応方針を検討します。

取調べでどのように対応すべきかは、ご本人が事件を認めているのか、事実関係や犯罪の成立を争っているのかなどによって異なります。そこで、弁護士は、黙秘権を行使するか、取調べでどのような説明をするかをご本人とともに検討し、具体的に助言します。

このとき、取調べで何を話すかと同じくらい注意しなければならないのが、供述調書への対応です。

供述調書の内容を慎重に確認する

取調べで話した内容は、供述調書として書面にまとめられることがあります。しかし、__供述調書は、取調べでのやり取りを一言一句そのまま記録したものではなく、捜査官がご本人の供述内容を整理して作成するもの__です。

そのため、ご本人が事実を正しく話したつもりであっても、言葉の選び方や前後の文脈が変わることによって、ご本人の認識とは異なる趣旨の供述調書が作成されることがあります。

供述調書が作成されると、捜査官がその内容をご本人に読み聞かせるか、ご本人自身に閲覧させます。この段階で、記載内容に誤りがないかを確認するのは、取調べを受けたご本人です。

記載内容が自分の話したことや認識と異なる場合には、署名・押印をする前に訂正を求める必要があります。訂正されず、記載内容に納得できない場合には、署名・押印を拒否することもできます。

一度署名・押印すると、記載内容に誤りがないことを確認したものと受け取られてしまう可能性が高いため、後から「実際に話した内容と違う」と説明しても、その内容を覆すことは容易ではありません

だからこそ、署名・押印をする前に、その内容を慎重に確認することが重要です。

取調べの内容を確認し、次の取調べに備える

さらに、捜査段階では、弁護士であっても、作成された供述調書を確認することは通常できません。裁判になった際に証拠開示を受けるまで、実際にどのような供述調書が作成されたのかを確認できません。

そのため、次の取調べに備えるためには、ご本人に、どのような質問をされ、どのように答えたのか、供述調書にはどのような内容が記載されていたのかを、できる限り覚えておいていただく必要があります

取調べは繰り返し行われることがあるため、当事務所では、その状況に応じて接見を重ねます取調べ前の接見では、取調べへの対応方針に加え、供述調書を読み聞かされたり閲覧したりする際の注意点を説明します

そして、取調べ後の接見では、実際にどのような質問を受け、どのように答えたのか、供述調書が作成されたか、どのような内容が記載されていたかをご本人から聴き取ります。その内容を踏まえて対応方針を見直し、次の取調べに向けた準備を行います。

事件に関する証拠を確認・収集する

取調べへの対応を検討するのと並行して、接見で聴き取ったご本人の説明を客観的に確認するため、事件に関する証拠の収集を検討します。

ご本人が事件を認めている場合でも、ご本人の認識と客観的な事実が一致しているとは限りません。行為の内容、関与した範囲、被害の程度、事件に至った経緯などを正確に確認する必要があります。

もっとも、捜査機関が収集した証拠は、通常、捜査段階では弁護士にも開示されません。そのため、弁護士自身が、収集できる証拠がないかを検討する必要があります。

確認すべき証拠は事件によって異なりますが、防犯カメラの映像、通話履歴、メッセージ、位置情報、写真、目撃者や関係者からの聴取りなどが考えられます。また、弁護士が現場を確認することで、位置関係や周囲の状況など、記録だけでは分からない事情を把握できることもあります。

こうした証拠の中には、時間が経過すると消去されたり、入手することが難しくなったりするものがあります。本人やご家族からの依頼には応じてもらえない場合でも、弁護士からの依頼であれば、防犯カメラ映像の提供や事情の聴取りに応じてもらえることもあります

そこで、ご本人から聴き取った内容を踏まえ、どのような証拠が存在する可能性があるかを確認し、必要に応じてご家族にもご協力いただきながら、早い段階から証拠の収集・保全を進めます。

家族は逮捕された本人と面会できるのか

ご家族であっても、逮捕された直後は、ご本人と一般面会をすることが難しいのが通常です。

勾留が決定した後は、ご家族も面会できる場合があります。

ただし、接見禁止の決定がされている場合には、ご家族であっても面会することができません。

また、面会できる曜日、時間帯、人数、回数などは、留置施設によって異なります。

弁護士は、接見禁止の決定がされている場合でも、原則としてご本人と接見することができます。

衣類や現金などを差し入れられる場合もありますが、差入れできる物や受付時間は留置施設によって異なります。

面会や差入れを希望する場合には、事前にご本人が留置されている警察署へ確認してください。

逮捕直後にご家族ができること

勾留を避けるためには、弁護士による活動だけでなく、ご家族の協力を得ながら、釈放後も安定した生活を送り、捜査機関からの呼出しに応じられる環境を整えることが重要です。

ご家族には、ご本人の生活状況などを弁護士へ伝えていただくとともに、身元引受けや釈放後の監督体制の準備などにご協力いただきます

ご本人の生活状況などを弁護士へ伝える

ご本人の住所、勤務先、家族構成、健康状態、通院状況などは、今後の弁護方針や、身体拘束を続ける必要性を検討するために必要となることがあります。

事件に関する資料や、ご本人の生活状況について分かることがあれば、弁護士へお伝えください。

身元引受けと監督体制を整える

ご家族が身元引受人となり、釈放後の生活を監督できることは、身体拘束を続ける必要がないことを示す事情の一つとなります

誰がご本人と生活するのか、警察や検察庁からの呼出しにどのように対応するのか、事件関係者との接触をどのように避けるのかなどを具体的に検討します。

そのうえで、必要に応じて身元引受書などの資料を準備します。

勤務先への連絡方法を検討する

逮捕によって仕事を休む必要がある場合でも、ご家族の判断だけで事件の内容を勤務先へ詳しく説明することは避けた方がよいことがあります。

ご本人の意向や身体拘束の見通しを確認したうえで、勤務先へ連絡する必要があるか、どのように説明するかを検討します。

被害者へ直接連絡する前に弁護士へ相談する

被害者への謝罪や被害弁償を考えている場合、もし被害者の連絡先を知っているとしても、ご家族から被害者へ直接連絡することは避け、まずは必ず弁護士へご相談ください

弁護士を通さずにご家族が被害者へ連絡すると、連絡の方法や内容によっては、被害者に不安を与えたり、捜査機関から証拠隠滅を疑われたりするおそれがあります。その結果、勾留の判断に不利な影響を及ぼす可能性もあります。

勾留を避けるための弁護活動

逮捕されたからといって、必ず勾留されるわけではありません。まずは、長期間に及ぶ可能性のある勾留を避けるため、できるだけ早く準備を始めることが重要です。

弁護士は、接見によって確認したご本人の説明、収集した証拠、ご家族から提供された情報、ご家族と協力して整えた身元引受け・監督体制などを、意見書や関係資料にまとめます

そのうえで、現在の手続段階に応じて、検察官や裁判官に対し、身体拘束を続ける必要がないことを主張します。

検察官に勾留請求をしないよう求める

検察官が勾留を請求する前であれば、検察官に対して意見書や関係資料を提出します。

その中で、逃亡や証拠隠滅のおそれがないこと、在宅のままでも捜査を進められること、身体拘束が仕事や家庭生活などに与える影響を具体的に示し、勾留を請求せずにご本人を釈放するよう求めます。

裁判官に勾留請求を却下するよう求める

検察官が勾留を請求した場合には、裁判官に対し、勾留請求を却下するよう求めます。

検察官へ提出した意見書や関係資料を改めて裁判官へ提出するとともに、必要に応じて追加の事情や資料を示します。

また、必要に応じて裁判官との面談を申し入れ、逃亡や証拠隠滅のおそれがなく、身体拘束を続ける必要がないことを直接伝えます。

これらの活動を行っても釈放が保証されるものではありませんが、限られた時間の中で、具体的な事情や資料に基づいて勾留の必要性を争うことが重要です。

勾留決定後の早期釈放に向けた弁護活動

検察官や裁判官への働きかけを行っても勾留を避けられなかった場合には、勾留決定後の釈放に向けた手続を検討します。

勾留決定に対して準抗告を申し立てる

裁判官による勾留決定に不服がある場合には、勾留決定の取消しを求めて準抗告を申し立てます。

準抗告では、勾留の要件や必要性が認められないことを、具体的な事情や資料に基づいて主張します。

準抗告が認められて勾留決定が取り消されると、ご本人は釈放されます。

勾留の取消しを求める

勾留された後に事情が変化し、勾留の理由や必要性がなくなった場合には、勾留の取消しを求めることがあります。

例えば、捜査が進んで重要な証拠が確保された場合、事件関係者との接触を避ける環境が整った場合などには、その後も身体拘束を続ける必要があるかを改めて検討します。

よくあるご質問

配偶者、父母・祖父母・子・孫などの直系親族、兄弟姉妹は、ご本人とは別に弁護人を選任することができます。

それ以外のご家族や交際相手、知人の方からご相談いただいた場合には、まず弁護士がご本人と接見し、ご本人の依頼意思を確認する方法があります。

被疑者国選弁護人は、勾留状が発せられ、貧困などの理由により私選弁護人を選任できない場合に、本人の請求によって選任される制度です。

そのため、逮捕直後から勾留が判断されるまでの段階では、国選弁護人は選任されません。この段階から継続した弁護活動を依頼する場合には、私選弁護人を選任する必要があります。

逮捕直後から勾留が判断されるまでの間にも、接見や取調べへの助言、勾留を避けるための準備を進めることができます。

まずは、勾留を避けるための準備を始めましょう

逮捕から勾留が判断されるまでの時間は限られています

勾留を避けるためには、ご本人と接見して事件の状況を確認し、取調べへの対応を検討するとともに、ご家族にも身元引受けや釈放後の監督体制の準備などにご協力いただく必要があります。

そのうえで、弁護士が具体的な事情や資料を検察官・裁判官へ示し、身体拘束を続ける必要がないことを主張します。

事件の内容や今後の見通しが分からない段階でも構いません。現在の手続段階を確認し、勾留を避けるために今からできることをご説明します。

ご家族が逮捕された場合には、できるだけ早くご相談ください