お子様が警察に逮捕されたり、取調べを受けたりしたとき、保護者の方にとって、学校に事件を知られてしまうのかは大きなご不安の一つだと思います。
少年事件では、警察から学校へ事件の情報が伝えられることがあります。
各地域では、少年の非行防止や犯罪被害の防止、健全育成などを目的として、学校と警察が児童・生徒に関する情報を共有する制度が設けられています。
もっとも、警察が把握したすべての事件について、自動的に学校へ連絡されるわけではありません。学校への情報提供の対象や運用は、地域や学校、事件の内容によって異なります。
学校への連絡が行われる前の段階で弁護士が対応することで、事情によっては、学校への情報提供を避けられることがあります。
また、学校への連絡自体を避けることが難しい場合でも、情報提供の必要性や範囲について警察に意見を伝えたり、学校への説明内容や時期を検討したりすることができます。
このページでは、学校・警察相互連絡制度の仕組みや、学校へ情報が提供される場合、学校へ伝えられる情報、退学・停学との関係、学校への連絡が心配な場合に弁護士ができる対応について説明します。
学校・警察相互連絡制度とは
学校・警察相互連絡制度とは、児童・生徒の非行防止、犯罪被害の防止や健全育成などを目的として、学校と警察が必要な情報を相互に提供し、連携して指導や支援を行う仕組みです。
地域によって、「学校・警察連絡制度」、「学校警察連携制度」、「警察と学校との相互連絡制度」など、異なる名称が用いられています。
この制度は、警察から学校へ少年事件の情報を伝えるだけの制度ではありません。
学校が把握した児童・生徒の違法行為や、犯罪被害に遭うおそれなどについて、学校から警察へ情報が提供されることもあります。
また、全国で全く同じ基準によって運用されているわけではありません。
対象となる学校、情報提供の対象となる事案、提供される情報の内容や通知方法などは、地域や学校の設置者によって異なります。
そのため、実際に学校への情報提供が行われる可能性があるかについては、少年が在籍する学校や地域の制度を確認する必要があります。
学校と警察の双方から情報が提供されることがあります
学校と警察との情報連携には、大きく分けて、警察から学校への情報提供と、学校から警察への情報提供があります。
① 警察から学校への情報提供
警察が取り扱った少年事件の中には、学校への情報提供の対象となるものがあります。
制度によっては、少年が逮捕された事案や、違法行為を繰り返している事案などが情報提供の対象とされています。
警察から学校へ情報を提供することで、学校における指導や少年の立ち直りに向けた支援につなげることが想定されています。
もっとも、対象となり得る事案であっても、すべてについて同じように情報提供が行われるわけではありません。
事件の内容、捜査の状況、少年が在籍する学校、地域の制度などによって取扱いは異なります。
また、捜査中であることや共犯者がいることなど、捜査上の事情によって、情報提供が行われなかったり、時期が遅くなったりすることもあります。
② 学校から警察への情報提供
学校が把握した児童・生徒の行為や状況について、警察との連携が必要と判断された場合には、学校から警察へ情報が提供されることがあります。
例えば、違法行為が繰り返されている場合のほか、児童・生徒が犯罪被害に遭うおそれがあり、警察による保護や対応が必要な場合などです。
学校内で問題を起こしたり、校則に違反したりしたからといって、そのすべてが警察へ伝えられるわけではありません。
どのような場合に情報提供を行うかについても、それぞれの制度に基準が定められています。
逮捕されたら学校へ連絡されるのか
少年が逮捕された場合には、警察から学校への情報提供の対象となることがあります。
実際に、逮捕された事案を学校への情報提供の対象として定めている制度があります。
もっとも、逮捕されたすべての少年について、必ず学校へ連絡されるわけではありません。
学校への情報提供が行われるかどうかは、
- 少年が在籍する学校が制度の対象となっているか
- 事件が情報提供の対象となる事案に該当するか
- 捜査上、情報提供することに支障がないか
- 学校との連携が必要と判断される事情があるか
などによって異なります。
そのため、「逮捕されたから必ず学校に知られる」、「逮捕されていないから学校には知られない」と一律に判断することはできません。
特に学校への連絡を避けたい事情がある場合には、警察から情報提供が行われる前に対応することが重要です。
学校にはどのような情報が伝えられるのか
警察から学校へ提供される情報の内容も、地域や制度によって異なります。
制度によっては、
- 児童・生徒を特定するための情報
- 事件や事案の概要
- 逮捕や補導など警察が行った措置
などが情報提供の対象とされています。
捜査記録や事件に関するすべての情報が、そのまま学校へ提供される制度ではありません。
どのような情報が提供されるかは、それぞれの制度や個別の事案によって異なります。
また、警察から学校へ情報が提供されたとしても、当然に学校内のすべての教職員へ情報が共有されるわけではありません。
制度によっては、情報を取り扱う教職員を校長や教頭、生徒指導担当者、担任など、児童・生徒への指導や支援のために情報を把握する必要がある者に限定する仕組みが設けられています。
もっとも、実際に学校内でどの範囲まで情報が共有されるかは、学校や事案によって異なります。
本人や保護者に事前に知らされるのか
学校への情報提供について、少年本人や保護者にどのような通知が行われるかも、地域や制度によって異なります。
制度によっては、警察から学校へ情報が提供された場合に少年本人へ通知したり、学校から警察へ情報を提供する場合に本人へ事前に通知したりする仕組みが設けられています。
一方で、緊急に情報を共有する必要がある場合などには、事前の通知が行われないこともあります。
警察から学校への情報提供について、必ず本人や保護者の事前の同意が必要になるわけではありません。
そのため、「保護者が学校への連絡を希望しなければ、警察から学校へ情報が伝わることはない」と考えることはできません。
学校への連絡を希望しない事情がある場合には、情報提供が行われる前に、できるだけ早く対応を検討することが重要です。
学校へ連絡されたら退学・停学になるのか
学校と警察との情報連携制度は、児童・生徒の非行防止、犯罪被害の防止や健全育成などのために、学校と警察が連携して指導や支援を行うことを目的とするものです。
警察から学校へ情報が提供されたからといって、それだけで直ちに退学や停学になるわけではありません。
もっとも、警察から学校へ事件の情報が伝われば、学校が事実関係を確認することがあります。
その結果、事件の内容や学校の学則・校則などに基づいて、学校が別途対応を検討する可能性はあります。
したがって、「警察から学校へ情報が提供されること」と「学校が退学・停学などの処分を検討すること」は、分けて考える必要があります。
学校への連絡自体を避けられるかという問題だけでなく、学校に事件を知られた場合に、学校へ何を、どのように説明するかも重要になります。
学校への連絡が心配な場合に弁護士ができること
学校への連絡が心配な場合、早期に弁護士が対応することで、学校への情報提供を避けられることがあります。
弁護士は、少年が在籍する学校や地域の制度、事件の内容、捜査の状況などを確認した上で、学校への情報提供が行われる可能性を検討します。
そして、学校への情報提供が必要ではないと考えられる事情がある場合には、警察に対してその事情を具体的に伝え、学校への連絡を控えるよう申し入れることを検討します。
学校への情報提供を避けることが難しい場合でも、そこで対応が終わるわけではありません。
学校へ伝えられる情報、学校への説明方法、その後の学校生活への影響までを見据えて、少年にとってできる限り不利益の少ない対応を検討します。
① 学校への連絡を控えるよう警察に申し入れる
学校への情報提供が必要ではないと考えられる事情がある場合には、警察に対して、学校への連絡を控えるよう申し入れることが考えられます。
例えば、
- 学校へ事件が伝わることで少年の学校生活に大きな影響が生じること
- 家庭で十分な監督や支援を行うことができること
- 被害者への対応や再発防止に向けた取組みが進んでいること
- 学校との連携を必要とする事情が乏しいこと
など、その事件に応じた事情を警察に説明します。
事案によっては、早い段階で事情を伝えることで、学校への情報提供を避けられる場合があります。
もっとも、事件の内容や地域の制度、警察の判断によっては、申し入れを行っても学校へ情報が提供されることがあります。
そのため、学校への連絡を心配されている場合には、できるだけ早い段階で対応を始めることが重要です。
② 学校へ伝える情報について警察に意見を伝える
学校への情報提供自体を避けることが難しい場合には、警察に対して、学校生活への影響を具体的に説明し、情報提供の必要性や学校へ伝える情報の範囲について慎重に検討するよう申し入れることが考えられます。
弁護士が警察から学校へ提供される情報を決定できるわけではありません。
もっとも、少年の学校生活への影響をできる限り小さくするという観点から、事件の状況に応じて警察に事情を説明し、必要な働きかけを行います。
③ 学校への説明内容や時期を検討する
学校への情報提供が避けられない場合には、学校にどのような説明をするかを事前に検討しておくことが重要です。
事件の内容だけが学校へ伝わった場合と、少年の反省や家庭での監督、被害者への対応、再発防止に向けた取組みまで学校に伝わっている場合とでは、学校側の受け止め方が異なる可能性があります。
そのため、
- 事件についてどこまで説明するか
- 少年本人と保護者のどちらから説明するか
- 警察から学校へ連絡される前に説明するか
- 反省や再発防止策をどのように伝えるか
などを検討します。
事案によっては、警察からの連絡を待つのではなく、保護者から学校へ先に事情を説明することが適切な場合もあります。
学校への連絡を防ぐことだけではなく、その後も少年が学校生活を続けられるように対応することが重要です。
④ 既に学校へ知られている場合でも対応できます
警察から既に学校へ情報が伝わっている場合でも、弁護士に相談する意味がなくなるわけではありません。
学校が事件を知った後にどのような対応を取るかは、事件の内容や学校によって異なります。
退学や停学などの処分が問題となる可能性がある場合には、少年が学業を継続できるよう、必要に応じて、
- 事件の状況
- 少年本人の反省
- 被害者への対応
- 家庭での監督状況
- 再発防止に向けた取組み
- 今後の生活の立て直し
などを整理して学校へ説明することを検討します。
学校への連絡を防ぐことができなかった場合でも、その後の学校生活への影響をできる限り小さくするためにできることがあります。
学校への連絡を避けたい場合は、できるだけ早くご相談ください
警察から学校への情報提供は、事件がすべて終了してから行われるとは限りません。
逮捕や取調べなど、事件の早い段階で学校への情報提供が問題になることがあります。
学校への連絡を避けられる可能性を少しでも高めるためには、学校へ情報が伝わる前から対応することが重要です。
一度学校に情報が伝われば、学校が事件を知ったという事実自体を後からなかったことにすることはできません。
もっとも、既に学校へ連絡されている場合であっても、学校への説明や、退学・停学などへの対応、その後の学校生活への影響をできる限り小さくするためにできることがあります。
学校への連絡を避けられる可能性がある段階から、その後の学校生活まで見据えて対応することが、少年事件では重要です。
お子様が逮捕された、警察から呼び出しを受けた、学校への連絡が心配といった場合には、できるだけ早い段階でご相談ください。
学校への連絡が心配な場合は、できるだけ早くご相談ください
警察から学校への情報提供は、事件の早い段階で行われることがあります。
一度学校へ伝わった情報を、後から取り消すことはできません。
学校への連絡や学校生活への影響が心配な場合には、できるだけ早い段階でご相談ください。
