お子様が突然逮捕された場合、保護者の方は、
「いつ自宅に帰ってこられるのか」
「警察署で面会することはできるのか」
「このまま勾留されてしまうのか」
「学校にはいつ戻れるのか」
など、多くの不安を抱えることになると思います。
少年が逮捕されると、警察署の留置施設などで身体を拘束され、取調べなどの捜査が始まります。
そして、逮捕後は法律で定められた時間の中で手続が進み、逮捕から最大72時間以内に、検察官が勾留を請求するか、少年を釈放するかを判断します。
勾留を避けるためには、検察官や裁判官が判断する前の早い段階から対応することが重要です。
このページでは、少年が逮捕された後の流れと、逮捕直後から弁護士ができることについて説明します。
14歳未満の少年(触法少年)は逮捕されません
14歳未満の者の行為は、刑法上処罰されません(刑法41条)。
そのため、14歳未満の少年が犯罪の被疑者として逮捕されることはありません。もっとも、警察による調査や児童相談所への通告・送致が行われ、必要に応じて児童相談所で一時保護されることがあります。
少年が逮捕されるとどうなるのか
逮捕とは、犯罪をした疑いのある人の身体を拘束する手続です。
少年が逮捕されると、家庭や学校から離れ、警察署の留置施設などで生活することになります。
逮捕後は、
・警察官による取調べ
・検察官への送致
・検察官による勾留請求の判断
・勾留請求がされた場合には裁判官による判断
と、短い時間の中で手続が進んでいきます。
また、逮捕直後は、取調べや検察官への送致などの手続が続くため、保護者の方がすぐに一般面会をすることは難しいのが一般的です。
保護者の方が少年と直接話すことができない間にも取調べは行われ、その内容が供述調書などの捜査記録として残ることがあります。
逮捕された後の72時間が重要です
少年が逮捕された場合、逮捕から最大72時間以内に、検察官が勾留を請求するか、少年を釈放するかを判断します。
検察官が勾留を請求し、裁判官がこれを認めると、その後も身体拘束が続くことになります。
勾留は原則として10日間であり、延長されるとさらに最大10日間続く可能性があります。
そのため、勾留されるかどうかは、少年が早く家庭や学校へ戻ることができるかどうかに大きく関わります。
また、逮捕段階では被疑者国選弁護人制度を利用することはできません。
逮捕直後から弁護士が少年と接見し、勾留を避けるための活動を継続して行うためには、私選弁護人を選任する必要があります。
逮捕後の72時間は、ただ待つための時間ではなく、勾留を避けるための準備や働きかけを行うことができる重要な時間です。
逮捕後の「最大72時間」が一番大事な理由
少年事件において、逮捕されてから検察官が勾留を請求するかどうかを判断するまでの最大72時間は、その後の身柄拘束や生活への影響を左右する重要な期間です。その理由は主に3つあります。
①勾留が決まると、身柄拘束が最大20日間続く可能性があります
逮捕後、検察官が勾留を請求し、裁判官がこれを認めると、原則10日間、延長されれば最大20日間、身柄拘束が続く可能性があります。
これほど長期にわたって身柄拘束が続くと、学校生活や仕事に大きな影響を及ぼし、場合によっては退学や解雇に至るおそれもあります。
②逮捕直後は、ご家族が少年と面会できないのが通常です
お子様が警察に逮捕されてしまった場合、保護者であってもすぐに警察署で面会できるわけではありません。
逮捕されてから勾留が決まるまでの間は、通常、ご家族が少年と面会することはできません。
この間、少年は家族と連絡を取ることができないまま、誰が味方なのか分からない強い不安とプレッシャーの中で、警察官の取調べを受けたり、検察庁や裁判所に行ったりすることになります。
また、取調べへの対応が分からないまま供述し、不利な内容の供述調書が作成されると、その内容が少年審判にも影響する可能性があります。
③逮捕段階では、国選弁護制度を利用できません
被疑者国選弁護人は、勾留請求後に選任される制度であり、逮捕段階では利用できません。
そのため、逮捕直後から勾留回避や早期釈放に向けた継続的な弁護活動を依頼するには、私選弁護人を選任する必要があります。
逮捕された後の流れ
警察に逮捕されると、法律で定められた厳格な時間制限に従って以下のように手続が進みます。
① 検察官への送致(逮捕から48時間以内)
警察は、少年を逮捕してから48時間以内に、検察官に少年の身柄を捜査記録などとともに送らなければいけません(一般に「送検」と呼ばれます)。
地域や逮捕された時間帯によって送致の時期は異なりますが、少年は、逮捕の翌日または翌々日に検察庁へ連行され、検察官に事件についての言い分を述べる機会が与えられます。
② 勾留請求の判断(身柄を受け取ってから24時間以内/逮捕から72時間以内)
少年の身柄と捜査記録を受け取った検察官は、身柄を受け取ってから24時間以内、かつ、逮捕から72時間以内に、裁判官に勾留を請求をするか、少年を釈放するかを判断しなければなりません。
検察官は、少年に弁解の機会を与え、捜査記録を確認したうえで、引き続き身柄を拘束する必要があるかどうかを判断します。
検察官が少年を勾留する必要があると判断した場合には、裁判官に対し勾留を請求します。
③裁判官による勾留の判断
検察官が勾留請求をすると、少年は裁判所に連行されます。
裁判官は、少年本人から話を聴く勾留質問を行い、勾留請求を認めるかどうかを判断します。
裁判官が勾留の必要があると判断した場合には勾留が決定され、勾留請求が却下された場合には少年は釈放されます。
勾留質問が行われる時期は地域などによって異なりますが、通常、勾留請求の当日または翌日となります。
早期釈放・勾留回避に向けた弁護活動
逮捕直後から、勾留回避や早期釈放に向けた継続的な弁護活動を依頼できるのは、私選弁護人です。
私選弁護人は、少年本人と接見し、保護者とともに家庭での受入れ・監督体制を整えたうえで、検察官や裁判官に対し、身柄拘束を続ける必要がないことを具体的に伝え、勾留請求や勾留決定の回避を目指します。
① 警察署で少年本人と接見
弁護士は、ご家族が面会できない逮捕直後の段階でも、警察官の立会いなく少年と接見することができます。休日や夜間にも接見できます。
そのため、弁護士は直ちに少年が留置されている警察署に向かい、少年から事件の概要を聞いたうえで、黙秘権や供述調書への署名・押印を拒否できることなど、取調べへの対応についてアドバイスします。
また、弁護士が少年の味方であることを伝えるとともに、直接会えないご家族からのメッセージを伝えることで、心細さを感じている少年に大きな安心感を与えます。
②家庭での受け入れ・監督体制を整える
勾留を回避するためには、釈放後も少年が逃亡したり、事件関係者と連絡を取ったりすることなく、捜査に応じられる環境を具体的に示すことが重要です。
そのため、保護者による身元引受けと監督の体制を整え、事件関係者との接触を断つなど、在宅のままでも捜査を進められる環境づくりをサポートします。
③ 検察官・裁判官への働きかけ
検察官が勾留請求をせず、在宅事件としての捜査に切り替える判断をすれば、少年は釈放されることになります。
そのため、検察官に対し、意見書を提出するなどして、勾留請求をせず、速やかに釈放して在宅事件として捜査するように求めます。
もし検察官によって勾留請求がされてしまった場合でも、諦めずに次の段階で動きます。
勾留するかどうかの最終判断をくだす裁判官に対し、改めて意見書を提出するとともに直接面談等を申し入れ、検察官による勾留請求を却下するように働きかけます。
お子様が逮捕されたら、すぐにご相談ください
逮捕後、勾留が決まるまでの最大72時間は、その後の身柄拘束を左右する重要な期間です。
早期釈放を目指すためにも、すぐにご相談ください。
