少年事件は、少年の健全な育成を目的とした手続であり、成人の刑事裁判(以下単に「刑事裁判」といいます。)とはその目的が大きく異なります。
そのような目的の違いから、少年事件と刑事裁判とでは、手続や内容などが異なる部分が出てきます。
以下では、少年審判と刑事裁判の違いについて説明します。
| 少年審判 | 刑事裁判 | |
| 手続の目的 | 少年の健全育成と再非行防止 | 犯罪に対する責任追及 |
| 手続の公開 | 原則非公開 | 原則公開 |
| 主な出席者 | 裁判官 調査官 少年本人 保護者(出席は必須ではない) 付添人(選任は任意。国選付添人が選任される場合もある) | 裁判官 被告人 検察官 弁護人(私選で選任できない場合、必ず国選弁護人が選任される。) |
| 言い渡される内容 | 保護処分(保護観察・少年院送致など) 検察官送致 不処分 試験観察 | 有罪(拘禁刑、罰金刑。執行猶予がつく場合もある。) 無罪 |
| 前科の有無 | 前科はつかない(ただし非行歴はつく) | 有罪判決の場合、前科がつく |
①少年審判では、検察官の関与は限定的です
少年審判の様子(イメージ図)


刑事裁判の様子(イメージ図)


左側の少年審判の様子のイメージ図のように、少年審判には、主に次のような人が出席します。
- 裁判官
- 裁判所書記官
- 家庭裁判所調査官
- 少年
- 保護者(出席は必須ではありません)
- 付添人(選任されている場合)
原則として、検察官は少年審判に出席しません。一定の重大事件については、家庭裁判所の決定によって検察官が審判に関与することになるに留まります。
②少年審判は非公開で行われる
少年審判は、成人の刑事裁判とは異なり、非公開で行われます。
少年審判では、更生のために、事件の内容だけでなく、少年を取り巻く家族関係・交友関係などのよりプライバシー性の高い事項についても掘り下げられていくため、非公開とされています。
少年法22条2項でも、次のように定められています。
少年法22条2項
審判は、これを公開しない。
このことから、事件と関係のない一般の方が、自由に審判を傍聴することはできません。
もっとも、一定の重大事件については、被害者本人やその親族の傍聴が認められる場合があります。
③少年審判は「懇切を旨として、和やかに」行われる
少年審判は、少年の再非行防止に向けた教育的機能を果たしますので、少年に対し、非行の重大性や自分の問題点などを理解させて反省を深めさせる必要があります。
しかし、少年はその年齢や性格によって理解する力が異なりますので、裁判官は、分かりやすく丁寧に諭したり、厳しく叱ったりして、非行の内容や少年の個性に応じた工夫をしています。
少年法22条1項では、次のように定められています。
少年法22条1項
審判は、懇切を旨として、和やかに行うとともに、非行のある少年に対し自己の非行について内省を促すものとしなければならない。
そのため、少年審判では、裁判官も法服ではなく、スーツを着用して審判を行うことが通常です。
もっとも、「和やか」という言葉は、単に優しい雰囲気で話をするという意味ではありません。裁判官や調査官は、少年に反省を促すために厳しく接することもあります。
④保護処分は刑罰ではない
少年審判では、保護観察や少年院送致などの保護処分が言い渡されることがありますが、保護処分は刑罰ではありません。
そのため、保護処分を受けても、前科がつくわけではありません。
また、保護処分は刑罰を科すものではありませんので、執行猶予のような制度もありません。
⑤裁判官は審判の前に記録や意見に全て目を通します
刑事裁判の場合、裁判が開かれる前の段階では、裁判官は起訴状と呼ばれる書面しか見ることができません。
裁判が始まった後も、裁判官は、あくまで検察官が提出した証拠しか見ることができませんので、検察官が提出しなかった証拠は判断材料にすることはできません。
他方、少年審判の場合、審判が始まる前の段階で、事件に関する全ての記録、調査官の調査結果・意見、付添人の意見書といったあらゆる記録に目を通します。
そのため、少年審判が始まる前、つまり、少年や保護者と会う前から、裁判官は、事件に関する記録を全て読み込み、ある程度の処分の方向性を決めているでしょう。
もちろん、裁判官が、少年や保護者から直接話を聞くことで判断を変えることもあり得ますが、審判で大逆転が起きる可能性は決して高いとはいえないでしょう。
最も重要なことは、審判が始まる前までに、少年にとって有利な事情を裁判官に理解してもらうことです。
⑥付添人は事件記録を見ることができます
刑事裁判においては、被告人や弁護人は、あくまで検察官が証拠として提出した証拠、または、検察官が任意で開示した証拠しか見ることができません。
他方、少年事件の場合、家庭裁判所には、警察や検察官が作成した事件に関する全ての記録が送致され、付添人は、事件に関する全ての記録を見ることができます。
また、付添人は、調査官が作成した社会記録も見ることができます。社会記録とは、少年の人間性や家庭環境、周囲の環境などを調査した結果をまとめている記録を指し、具体的には、調査官の調査報告書や少年鑑別所で作成される鑑別結果報告書などが社会記録に該当します。
専門家である調査官が少年について調査した結果は、今後の少年の生活を考えていく上で非常に大事な情報になります。
少年事件では「審判まで」の対応が非常に重要です
少年事件で重要なことは、
- なぜ非行に至ったのか
- 非行の原因がどのように改善されたのか
- 再び非行に及ばないためにどのような取組みを行っているのか
を、少年審判までに具体的に裁判官に示すことです。
つまり、少年事件では、「事件が起きてから審判までの時間をどのように過ごすか」が非常に重要になります。
少年事件では、早い段階からの対応が重要です。
お子様が事件を起こしてしまい、今後の手続や対応について不安を感じている方は、お早めにご相談ください。
少年審判に向けて、お早めにご相談ください
少年審判までに、更生に向けた取組みを行うことが非常に重要です。
少年審判手続に不安を感じる方はお早めにご相談ください。
